森海コラム

チャチャ日記11

チャチャ日記11

チャチャのお陰で早起きと朝の散歩がルーチンワークになってしまった。 チャチャを飼うまでまるで知らなかった早朝の街では様々な生物が活発に行動している。 中でも驚いたのはハクビシンだ。 頭上で黒い影が動いたことに気が付いて空を見上げると地上10m程の電線の上をハクビシンが歩いていた。 電線から電線、電線から電柱、マンションのベランダへと迷うことなくスルスルスルスルと忍者のように移動していく。 きっとそのルートを毎日辿って繁華街に通うのだろう。 人間たちが眠っている間にハクビシンは僕らの寝室の目と鼻の先を通過しているのだ。5階の部屋だって彼の散歩道だと思うと仰天だ。 鼻のいいチャチャは街のあちこちで隠れている生物を見つけるのが得意だ。 自動販売機の下のネズミ、巣から落ちたスズメ、寒くて動けなくなったシジュウカラなど、これまでに色んな生き物を見つけ出してきた。 中でもよく出会うのは猫である。 チャチャが足を止めて仕切りに車の下を覗き込むので確かめてみると猫がいた チャチャはどんな生物に対しても友好的だから「ねぇ一緒に遊ぼうよ!」と尻尾を振りながら近づいていく。 猫の方はと言うと「なんだよ、うるせぇな、こっち来るんじゃねぇぞ、猫パンチ食らわすぞ・・・」と陰険な目つきで睨み返す。 それでもさらに近づこうとすると「シャーーッ」と唸り声を上げて飛び掛かろうとする。 僕は慌ててリードを引くことになる。 早朝の定番と言えばカラスである。 ゴミ袋を破り残飯を引っ張り出し食べているカラスとよく出会う。 きちんと網を掛けておけばいいのにと思うのだが、カラスは網の隙間からゴミ袋を器用に引っ張り出してしまう。 カラスは賢いのでチャチャが紐に繋がれていると高を括って決して逃げることがない。 チャチャと程よい距離を保ちながら悠然と餌を漁り続ける。チャチャが近づこうとするとスキップするように1m程離れてチャチャの顔を見る。 そして「どうせ紐に繋がれてんだろ。捕まえられるもんなら捕まえてみな!」とからかってくる。 チャチャはどんな生物に対しても友好的だけど、最初から戦闘的な生物もいる。 それは猿だ。 僕の別宅がある湯河原町では猿が町に降りてくる。友好的なチャチャが尻尾を振りながら近づいていく時、猿は最初から戦闘モードだ。 屋根から飛び降りて来てチャチャの目の前の交通標識に掴まってグラングランと揺さぶりチャチャを威嚇する。 物凄い迫力である。 まさに犬猿の中。何百年も前から憎しみ合っていることがよくわかった。 散歩の途中で色んな生物と出会いながら、チャチャも徐々に大人になってきた。 「友達は選んで付き合わなきゃ。」と最近は思っているようである。  ...

チャチャ日記11

チャチャのお陰で早起きと朝の散歩がルーチンワークになってしまった。 チャチャを飼うまでまるで知らなかった早朝の街では様々な生物が活発に行動している。 中でも驚いたのはハクビシンだ。 頭上で黒い影が動いたことに気が付いて空を見上げると地上10m程の電線の上をハクビシンが歩いていた。 電線から電線、電線から電柱、マンションのベランダへと迷うことなくスルスルスルスルと忍者のように移動していく。 きっとそのルートを毎日辿って繁華街に通うのだろう。 人間たちが眠っている間にハクビシンは僕らの寝室の目と鼻の先を通過しているのだ。5階の部屋だって彼の散歩道だと思うと仰天だ。 鼻のいいチャチャは街のあちこちで隠れている生物を見つけるのが得意だ。 自動販売機の下のネズミ、巣から落ちたスズメ、寒くて動けなくなったシジュウカラなど、これまでに色んな生き物を見つけ出してきた。 中でもよく出会うのは猫である。 チャチャが足を止めて仕切りに車の下を覗き込むので確かめてみると猫がいた チャチャはどんな生物に対しても友好的だから「ねぇ一緒に遊ぼうよ!」と尻尾を振りながら近づいていく。 猫の方はと言うと「なんだよ、うるせぇな、こっち来るんじゃねぇぞ、猫パンチ食らわすぞ・・・」と陰険な目つきで睨み返す。 それでもさらに近づこうとすると「シャーーッ」と唸り声を上げて飛び掛かろうとする。 僕は慌ててリードを引くことになる。 早朝の定番と言えばカラスである。 ゴミ袋を破り残飯を引っ張り出し食べているカラスとよく出会う。 きちんと網を掛けておけばいいのにと思うのだが、カラスは網の隙間からゴミ袋を器用に引っ張り出してしまう。 カラスは賢いのでチャチャが紐に繋がれていると高を括って決して逃げることがない。 チャチャと程よい距離を保ちながら悠然と餌を漁り続ける。チャチャが近づこうとするとスキップするように1m程離れてチャチャの顔を見る。 そして「どうせ紐に繋がれてんだろ。捕まえられるもんなら捕まえてみな!」とからかってくる。 チャチャはどんな生物に対しても友好的だけど、最初から戦闘的な生物もいる。 それは猿だ。 僕の別宅がある湯河原町では猿が町に降りてくる。友好的なチャチャが尻尾を振りながら近づいていく時、猿は最初から戦闘モードだ。 屋根から飛び降りて来てチャチャの目の前の交通標識に掴まってグラングランと揺さぶりチャチャを威嚇する。 物凄い迫力である。 まさに犬猿の中。何百年も前から憎しみ合っていることがよくわかった。 散歩の途中で色んな生物と出会いながら、チャチャも徐々に大人になってきた。 「友達は選んで付き合わなきゃ。」と最近は思っているようである。  ...

チャチャ日記10

チャチャ日記10

チャチャが我が家にやって来てからちょうど1年が経過した。 ジャックラッセルテリアはしっかり運動させないと吠え癖、噛み癖などが始まり手が付けられなくなるというので、毎朝1時間半の散歩をしてきた。 「いつまで続くのかな?」と不安に思っていたが、結局1年間休まずに続いた。 スマホのアプリで確認してみると、なんとこの1年間の1日当たりの平均歩数は8800歩。これは驚異的な数字だ。 デスクワークが忙しかったり雨が降ったりしたら当然歩数も減る。スマホを持ち歩かない日だってある。 それなのに9000歩近いということは、連日のように1万歩越えているということになる。 会社勤めをしていた頃、1万歩越える人ってどんなライフスタイルなんだと思っていたけど今なら納得できる。 犬を飼えば誰でも1日1万歩を達成できるのだ。 チャチャは朝の散歩の要領がどんどん良くなっている。 最初の頃は夜明け前から「行こう行こう!早く行こう!!」と寝ている僕を起こしに来たのだが、最近はご主人様の段取りを熟知していて焦ることがない。 「どうせ準備に時間が掛かるんでしょ。」と言わんばかりに自分のベッドでのんびり僕が着替えるのを待っているのだ。 ウィンドブレーカーを着て手袋をして帽子を被り、ウンチ回収セットを手提げ袋に入れて、玄関まで行くと「やっと準備できたか。」と言わんばかりに僕の足元にやって来る。 「おまえがご主人様みたいじゃないか!」 家の外に出るとその途端に、チャチャの足取りが軽くなる。尻尾がピンと跳ね上がり胸を張ってトントントンと調子よく歩き出すのだ。 ところが家に戻ろうとすると一気に足取りが重くなる。「まだ帰りたくない!」と足を踏ん張り「そっちには行かないよ!」と動かなくなる。踏ん張る力はなかなかのもんだ。 そんな時、僕は必殺アイテムを取り出すのだ。手提げ袋の中のスーパーボールを見せると、途端にチャチャの目がキラキラと輝き出す。 車が来ないタイミングを見計らって道路にスーパーボールを転がすと、ウサギのように跳ねてボールを追い掛ける。これを何度も繰り返してるうちに我が家に近づいていくのだ。 しかし、しばらくするとその作戦も見透かされてくる。 「あれっ、家の近くだぞ。」と思うと、チャチャのスピードがダウン。 次に僕が取り出すのは、伝家の宝刀・鹿肉ジャーキーである。 鹿肉ジャーキーが出てくると、チャチャは他に何も見えなくなり、思い切り飛びついてくる。 チャチャのジャンプをうまくかわしながらマンションの裏門に誘導し、扉を開けたところで鹿肉を与える。 いつの間にか家に帰ってしまったチャチャは「あれれっ?」という顔をしながらも「まっいいか、鹿肉ジャーキー食べれたし。」と満足そうな顔をするのである。

チャチャ日記10

チャチャが我が家にやって来てからちょうど1年が経過した。 ジャックラッセルテリアはしっかり運動させないと吠え癖、噛み癖などが始まり手が付けられなくなるというので、毎朝1時間半の散歩をしてきた。 「いつまで続くのかな?」と不安に思っていたが、結局1年間休まずに続いた。 スマホのアプリで確認してみると、なんとこの1年間の1日当たりの平均歩数は8800歩。これは驚異的な数字だ。 デスクワークが忙しかったり雨が降ったりしたら当然歩数も減る。スマホを持ち歩かない日だってある。 それなのに9000歩近いということは、連日のように1万歩越えているということになる。 会社勤めをしていた頃、1万歩越える人ってどんなライフスタイルなんだと思っていたけど今なら納得できる。 犬を飼えば誰でも1日1万歩を達成できるのだ。 チャチャは朝の散歩の要領がどんどん良くなっている。 最初の頃は夜明け前から「行こう行こう!早く行こう!!」と寝ている僕を起こしに来たのだが、最近はご主人様の段取りを熟知していて焦ることがない。 「どうせ準備に時間が掛かるんでしょ。」と言わんばかりに自分のベッドでのんびり僕が着替えるのを待っているのだ。 ウィンドブレーカーを着て手袋をして帽子を被り、ウンチ回収セットを手提げ袋に入れて、玄関まで行くと「やっと準備できたか。」と言わんばかりに僕の足元にやって来る。 「おまえがご主人様みたいじゃないか!」 家の外に出るとその途端に、チャチャの足取りが軽くなる。尻尾がピンと跳ね上がり胸を張ってトントントンと調子よく歩き出すのだ。 ところが家に戻ろうとすると一気に足取りが重くなる。「まだ帰りたくない!」と足を踏ん張り「そっちには行かないよ!」と動かなくなる。踏ん張る力はなかなかのもんだ。 そんな時、僕は必殺アイテムを取り出すのだ。手提げ袋の中のスーパーボールを見せると、途端にチャチャの目がキラキラと輝き出す。 車が来ないタイミングを見計らって道路にスーパーボールを転がすと、ウサギのように跳ねてボールを追い掛ける。これを何度も繰り返してるうちに我が家に近づいていくのだ。 しかし、しばらくするとその作戦も見透かされてくる。 「あれっ、家の近くだぞ。」と思うと、チャチャのスピードがダウン。 次に僕が取り出すのは、伝家の宝刀・鹿肉ジャーキーである。 鹿肉ジャーキーが出てくると、チャチャは他に何も見えなくなり、思い切り飛びついてくる。 チャチャのジャンプをうまくかわしながらマンションの裏門に誘導し、扉を開けたところで鹿肉を与える。 いつの間にか家に帰ってしまったチャチャは「あれれっ?」という顔をしながらも「まっいいか、鹿肉ジャーキー食べれたし。」と満足そうな顔をするのである。

チャチャ日記9

チャチャ日記9

一昨年、野田知佑氏というカヌーイストが亡くなった。 (日本の川を旅する)という著作で川を下りながら旅するカヌーツーリングという遊びを広めたアウトドアマンである。 川旅をする時、彼はいつも愛犬ガクをカナディアンカヌーの前席に乗せていた。 日本の川でもアラスカの川でも愛犬ガクは野田さんの最高のパートナーだった。 日清食品のテレビCMでカヌーにガクを乗せ、チキンラーメンを食べているシーンを覚えている人もいるだろう。 愛犬ガクとスケールの大きな旅をする姿に多くのアウトドアマンが憧れた。 僕もそのうちの1人である。 かつて野田さんと何度も一緒に川を下った経験のある僕は、そろそろチャチャをカヌー犬に育てなくてはいけないのじゃないかと考えた。 目的地はツーリングカヌーのメッカ、茨城県の那珂川。使用するカヌーはフジタのフォールディングカヤック。 木で出来たフレームに強化ビニールのシートを被せてつくる折りたたみ式のカヌーである。 天気は快晴。残暑が残り蒸し暑いくらいの9月だった。 犬用の救命胴衣を身に着けたチャチャの姿がレスキュー隊のようでカッコいい。海猿??いや犬だから違うな。 水遊びが好きなチャチャはいきなり川に飛び込んでずぶ濡れになる。 どうやらカヌー犬の素質はありそうだ。 そんなチャチャを掴み上げてフジタカヌーの前席に放り込んだ。何が始まるのかわからず戸惑うチャチャ。 カヌーを漕ぎ出すとしばらくの間、岸に帰りたい仕草を見せたが、徐々に慣れてきた。 穏やかな流れに乗っている時はコックピットに静かに座っているが、瀬に突入するとその途端に興奮し始める。 キラキラと光る水面、次々とぶつかってくる波頭・・・得体のしれない生き物に取り囲れたと思っているのか、興味津々で水流の動きを追い掛けた。 そして、再び穏やかな流れになると「なんだぁ、つまらないなぁ。」という顔をして居眠りする余裕まで出てくる。 カヌー下りの魅力の1つは川面を渡る風だと思う。 頬を撫でる風がとにかく爽やかで心地よいのだ。そして、自然の絶景がロールスクリーンのように音もなく視界を流れていくところがいい。カヌー下りは実に贅沢な遊びである。 やがて川岸の林の向こうに(鮎)の大きな看板が見えてきた。 「ちょっと寄って行くか・・・」とカヌーを接岸させて、鮎の塩焼き小屋に立ち寄った。 丸々と太った鮎が水槽で泳いでいた。 すぐに竹串に刺して焼いてもらう。 ついでにビールも飲んじゃったりして。 恨めしそうに見上げるチャチャには鹿肉ジャーキーを与えて、2人で川を見ながら佇んだ。 ライフジャケットをつけて正座しているチャチャの横顔が凛々しく見えた。 野田さんとガクの世界に近づけただろうか?いや・・・見ていたのは鹿肉を入れた防水袋なのだと気が付いた。

チャチャ日記9

一昨年、野田知佑氏というカヌーイストが亡くなった。 (日本の川を旅する)という著作で川を下りながら旅するカヌーツーリングという遊びを広めたアウトドアマンである。 川旅をする時、彼はいつも愛犬ガクをカナディアンカヌーの前席に乗せていた。 日本の川でもアラスカの川でも愛犬ガクは野田さんの最高のパートナーだった。 日清食品のテレビCMでカヌーにガクを乗せ、チキンラーメンを食べているシーンを覚えている人もいるだろう。 愛犬ガクとスケールの大きな旅をする姿に多くのアウトドアマンが憧れた。 僕もそのうちの1人である。 かつて野田さんと何度も一緒に川を下った経験のある僕は、そろそろチャチャをカヌー犬に育てなくてはいけないのじゃないかと考えた。 目的地はツーリングカヌーのメッカ、茨城県の那珂川。使用するカヌーはフジタのフォールディングカヤック。 木で出来たフレームに強化ビニールのシートを被せてつくる折りたたみ式のカヌーである。 天気は快晴。残暑が残り蒸し暑いくらいの9月だった。 犬用の救命胴衣を身に着けたチャチャの姿がレスキュー隊のようでカッコいい。海猿??いや犬だから違うな。 水遊びが好きなチャチャはいきなり川に飛び込んでずぶ濡れになる。 どうやらカヌー犬の素質はありそうだ。 そんなチャチャを掴み上げてフジタカヌーの前席に放り込んだ。何が始まるのかわからず戸惑うチャチャ。 カヌーを漕ぎ出すとしばらくの間、岸に帰りたい仕草を見せたが、徐々に慣れてきた。 穏やかな流れに乗っている時はコックピットに静かに座っているが、瀬に突入するとその途端に興奮し始める。 キラキラと光る水面、次々とぶつかってくる波頭・・・得体のしれない生き物に取り囲れたと思っているのか、興味津々で水流の動きを追い掛けた。 そして、再び穏やかな流れになると「なんだぁ、つまらないなぁ。」という顔をして居眠りする余裕まで出てくる。 カヌー下りの魅力の1つは川面を渡る風だと思う。 頬を撫でる風がとにかく爽やかで心地よいのだ。そして、自然の絶景がロールスクリーンのように音もなく視界を流れていくところがいい。カヌー下りは実に贅沢な遊びである。 やがて川岸の林の向こうに(鮎)の大きな看板が見えてきた。 「ちょっと寄って行くか・・・」とカヌーを接岸させて、鮎の塩焼き小屋に立ち寄った。 丸々と太った鮎が水槽で泳いでいた。 すぐに竹串に刺して焼いてもらう。 ついでにビールも飲んじゃったりして。 恨めしそうに見上げるチャチャには鹿肉ジャーキーを与えて、2人で川を見ながら佇んだ。 ライフジャケットをつけて正座しているチャチャの横顔が凛々しく見えた。 野田さんとガクの世界に近づけただろうか?いや・・・見ていたのは鹿肉を入れた防水袋なのだと気が付いた。

チャチャ日記7

チャチャ日記7

毎日のようにチャチャと散歩しているうちにチャチャが好きなモノがよくわかるようになった。「これを見つけたらもう我慢できない!」というモノがチャチャには3つある。 まず1つ目は(芝生)である。 芝生を見つけると急に早歩きになる。 そして芝生に入るやいなやいきなり勢いよく走り出す。あまりのスピードに僕は追いつけないこともしばしばだ。 芝生のあちこちで匂いを嗅いで腹ばいになって、時にはごろごろ寝転がって芝生を満喫するチャチャ。 その感触が余程心地よいのだろう。寝転んでいる時の表情は本当に嬉しそうだ。 2つ目の好物は(ボール)である。 狩猟犬として生まれた犬だからか動くものに目がない。たとえば木の葉が風に吹かれて飛べば歩道を勢いよく走り出す。 ボール遊びをしている子供を見ると、そのボールがほしくてリードを思い切り引っぱる。 だから僕はいつもボールを携帯することにしているのだ。誰もいない広場があるとボールを投げてしばらく一緒に遊んであげることにしている。 困ってしまうのは何時でも何処でも「ボールを投げろ!」と要求してくることだ。車や歩行者がたくさんいる大通りでボールなんか投げられない。無視して歩き続けると、途端にストライキを起こし大の字になって動かなくなる。 そんな時はボールを投げるふりをしながらチャチャを歩かせるしかない。 3つ目にチャチャが好きなものは(うんこ)である。 あちこちの草地で匂いを嗅ぎながら他の犬のうんこを探している。見つけると「あったぞ!」と喜び。放っておくとそれを咥えて「見つけたっ見つけた!」と走り出すのだ。 「止めなさい!」と慌てて綱を引くと「取られてなるものか!」と抵抗しヘタをすると飲み込もうとしたりする。 とんでもない趣味である。 チャチャが好きな3つのモノ「芝生・ボール・うんこ」 これ実は人間の子供も大好きなものだ。 「そんなバカな!うちの娘はうんこなんて好きじゃないわよ!」と言うお母さん!考えてみてください。あの(うんこドリル)の爆発的なヒット。 漢字や算数などのあらゆる学習ドリルの例文に(うんこ)を絡ませる(うんこドリル)は270万部の大ヒットとなり今も売れ続けている。 そしてお台場には(うんこミュージアム)ができてしまった。こちらもオープンと同時に1000人の行列ができ、今では予約も取れないほどの大盛況。 人間の子供もチャチャと同じ、うんこが大好きなのだ。 ただチャチャの場合はそれを食べようとするのがイカン。鹿肉ジャーキーとうんこジャーキーの違いもわからないなんてとんでもない。 そこで僕はいつもの鹿の生肉に加えて鹿肉ジャーキーも注文することにした。 鹿肉ジャーキーを毎日食べて、うんこジャーキーとの差に気付き、うんこには目もくれないチャチャになってほしいと思うのである。

チャチャ日記7

毎日のようにチャチャと散歩しているうちにチャチャが好きなモノがよくわかるようになった。「これを見つけたらもう我慢できない!」というモノがチャチャには3つある。 まず1つ目は(芝生)である。 芝生を見つけると急に早歩きになる。 そして芝生に入るやいなやいきなり勢いよく走り出す。あまりのスピードに僕は追いつけないこともしばしばだ。 芝生のあちこちで匂いを嗅いで腹ばいになって、時にはごろごろ寝転がって芝生を満喫するチャチャ。 その感触が余程心地よいのだろう。寝転んでいる時の表情は本当に嬉しそうだ。 2つ目の好物は(ボール)である。 狩猟犬として生まれた犬だからか動くものに目がない。たとえば木の葉が風に吹かれて飛べば歩道を勢いよく走り出す。 ボール遊びをしている子供を見ると、そのボールがほしくてリードを思い切り引っぱる。 だから僕はいつもボールを携帯することにしているのだ。誰もいない広場があるとボールを投げてしばらく一緒に遊んであげることにしている。 困ってしまうのは何時でも何処でも「ボールを投げろ!」と要求してくることだ。車や歩行者がたくさんいる大通りでボールなんか投げられない。無視して歩き続けると、途端にストライキを起こし大の字になって動かなくなる。 そんな時はボールを投げるふりをしながらチャチャを歩かせるしかない。 3つ目にチャチャが好きなものは(うんこ)である。 あちこちの草地で匂いを嗅ぎながら他の犬のうんこを探している。見つけると「あったぞ!」と喜び。放っておくとそれを咥えて「見つけたっ見つけた!」と走り出すのだ。 「止めなさい!」と慌てて綱を引くと「取られてなるものか!」と抵抗しヘタをすると飲み込もうとしたりする。 とんでもない趣味である。 チャチャが好きな3つのモノ「芝生・ボール・うんこ」 これ実は人間の子供も大好きなものだ。 「そんなバカな!うちの娘はうんこなんて好きじゃないわよ!」と言うお母さん!考えてみてください。あの(うんこドリル)の爆発的なヒット。 漢字や算数などのあらゆる学習ドリルの例文に(うんこ)を絡ませる(うんこドリル)は270万部の大ヒットとなり今も売れ続けている。 そしてお台場には(うんこミュージアム)ができてしまった。こちらもオープンと同時に1000人の行列ができ、今では予約も取れないほどの大盛況。 人間の子供もチャチャと同じ、うんこが大好きなのだ。 ただチャチャの場合はそれを食べようとするのがイカン。鹿肉ジャーキーとうんこジャーキーの違いもわからないなんてとんでもない。 そこで僕はいつもの鹿の生肉に加えて鹿肉ジャーキーも注文することにした。 鹿肉ジャーキーを毎日食べて、うんこジャーキーとの差に気付き、うんこには目もくれないチャチャになってほしいと思うのである。

チャチャ日記6

チャチャ日記6

チャチャを飼い始めてから半年が経ち、そろそろアウトドアデビューさせてみようかと思い始めた。 これまでに僕はセネ・チャッピー・トトと3匹の犬を飼って、それぞれに海山川でのアウトドアを体験をさせてきた。 崖から転落して悲鳴を上げたセネ、登山道から滑って木の根にぶつかったチャッピー、アウトドアでの体験はそれなりにハードなものだった。 転覆隊長が飼犬なのだから多少痛い目に合っても仕方ない。 3月下旬、チラホラと花の便りが聞こえてきた頃、僕はチャチャをロッククライミングに連れ出すことにした。 場所は栃木県の鹿沼岩山である。 標高328mの低い山だがゴロゴロした岩が乱立しその間を鎖やロープを辿りながら歩くルートはスリルがある。 チャチャがどこまで歩けるか楽しみである。 鹿沼岩山への登山道は日吉神社の脇から始まる。杉林の中をしばらく歩くと楢の木ばかりの広葉樹林帯に変わる。 若葉が芽吹いていないので枯れ木だらけの茶色い世界。分厚く堆積した落ち葉をザクザクッ踏みしめながら歩いていく。 鹿沼岩山にはいくつかのピークがあり一番岩、二番岩、三番岩などの名前が付いている。 三番岩から見る景色は爽快だった。 村や田園の風景がまるでテーブルの上のジオラマのように見える。 二番岩に向かう途中で雪が降り始めた。もうすぐ4月だと言うのに雪が降るとは予想外だった。 歌舞伎の紙吹雪のように灰色の空から舞い降りてくる雪片。低山を歩いているのに北アルプスにいる気分になった。 多少の岩場は爪を立てて登ったチャチャも鎖場となるとそうはいかない。 岩の上に僕が運び上げるしかない。 午後になっても気温は上がらなかった。吐く息は真っ白で指先は凍るように冷たかった。ふと気が付くとチャチャがガタガタ震えているではないか。 毛皮を着ているのに寒いはずないと思い体に触れてみると雪が溶けてびしょ濡れになっている。 「これはマズイ!」と慌てて、背中のザックの中に入れてあげることにした。 「甘いなぁ~、甘いなぁ~、隊長、チャチャに甘いよ!」と隊員たちが言う。 確かにこれまでの犬に比べると、かなり甘い対応である。歳をとってから犬を飼うと甘くなるのは仕方ない。 夜になるとしんしんと冷えた。 澄み切った群青色の空に鎌のように細い三日月が鋭く輝いていた。 この日、チャチャはひと口もドッグフードを食べなかった。大好きな鹿の生肉なのにひと口も食べない。 山の中に連れて来られて不安なのだろう。 ここに捨てられたらどうしよう?ご主人様がいなくなったらどうしよう?などと色々考えているのかもしれない。 テントの中で一晩一緒に過ごして僕とチャチャは信頼関係はさらに強くなった。 東京の我が家に戻ると、その途端「あ~~腹減ったぁ~~」と、いつものように鹿肉を夢中で食べたチャチャである。

チャチャ日記6

チャチャを飼い始めてから半年が経ち、そろそろアウトドアデビューさせてみようかと思い始めた。 これまでに僕はセネ・チャッピー・トトと3匹の犬を飼って、それぞれに海山川でのアウトドアを体験をさせてきた。 崖から転落して悲鳴を上げたセネ、登山道から滑って木の根にぶつかったチャッピー、アウトドアでの体験はそれなりにハードなものだった。 転覆隊長が飼犬なのだから多少痛い目に合っても仕方ない。 3月下旬、チラホラと花の便りが聞こえてきた頃、僕はチャチャをロッククライミングに連れ出すことにした。 場所は栃木県の鹿沼岩山である。 標高328mの低い山だがゴロゴロした岩が乱立しその間を鎖やロープを辿りながら歩くルートはスリルがある。 チャチャがどこまで歩けるか楽しみである。 鹿沼岩山への登山道は日吉神社の脇から始まる。杉林の中をしばらく歩くと楢の木ばかりの広葉樹林帯に変わる。 若葉が芽吹いていないので枯れ木だらけの茶色い世界。分厚く堆積した落ち葉をザクザクッ踏みしめながら歩いていく。 鹿沼岩山にはいくつかのピークがあり一番岩、二番岩、三番岩などの名前が付いている。 三番岩から見る景色は爽快だった。 村や田園の風景がまるでテーブルの上のジオラマのように見える。 二番岩に向かう途中で雪が降り始めた。もうすぐ4月だと言うのに雪が降るとは予想外だった。 歌舞伎の紙吹雪のように灰色の空から舞い降りてくる雪片。低山を歩いているのに北アルプスにいる気分になった。 多少の岩場は爪を立てて登ったチャチャも鎖場となるとそうはいかない。 岩の上に僕が運び上げるしかない。 午後になっても気温は上がらなかった。吐く息は真っ白で指先は凍るように冷たかった。ふと気が付くとチャチャがガタガタ震えているではないか。 毛皮を着ているのに寒いはずないと思い体に触れてみると雪が溶けてびしょ濡れになっている。 「これはマズイ!」と慌てて、背中のザックの中に入れてあげることにした。 「甘いなぁ~、甘いなぁ~、隊長、チャチャに甘いよ!」と隊員たちが言う。 確かにこれまでの犬に比べると、かなり甘い対応である。歳をとってから犬を飼うと甘くなるのは仕方ない。 夜になるとしんしんと冷えた。 澄み切った群青色の空に鎌のように細い三日月が鋭く輝いていた。 この日、チャチャはひと口もドッグフードを食べなかった。大好きな鹿の生肉なのにひと口も食べない。 山の中に連れて来られて不安なのだろう。 ここに捨てられたらどうしよう?ご主人様がいなくなったらどうしよう?などと色々考えているのかもしれない。 テントの中で一晩一緒に過ごして僕とチャチャは信頼関係はさらに強くなった。 東京の我が家に戻ると、その途端「あ~~腹減ったぁ~~」と、いつものように鹿肉を夢中で食べたチャチャである。

チャチャ日記5

チャチャ日記5

当たり前のことだが、犬を飼うということは犬のお世話するということだ。 これが意外と大変なのだ。 何より手間が掛かるのは糞尿の世話である。 チャチャが我が家に来たばかりの頃、おしっこ場所がなかなか定まらなくて苦労した。おしっこスマットを敷いて時間を掛けて教えているうちに今ではトイレタイムを失敗することはなくなった。 とは言え、おしっこマットの取り換えや、糞の回収、垂らしたおしっこを拭き取るなどの作業は忙しいのだ。 さらにブラッシングも欠かせない。 毛足の長いチャチャはよく毛が抜ける。 我が家の床はダークブラウンの木の床なのでチャチャの白い毛がよく目立つ。 きれい好きの妻が必死になって掃除してもなかなか追いつかない。 「掃除機かけたばっかりなのにまた毛だらけなのよ。ノイローゼになりそう!!」と妻の悲鳴は毎日のように聞こえてくる。 そして、さらに食事の用意も大変だ。 我が家では鹿の生肉を与えているがそれだけだと栄養が偏るのでドライフードや野菜を混ぜて与えている。 犬は何でも食べてしまうので犬の栄養管理は飼い主がしっかりやらなくちゃならない。 毎朝の散歩、月に2度のお風呂、定期的な動物病院の診察などなどやることはたくさんある。 犬のお世話は大変だけれども意外と楽しみながらやっている。 そんな時、ふと気が付いた。 「やってることは老人介護と同じじゃないか!!」 バランスのいい食事をつくったり、お風呂に入れてあげたり、医者に連れて行ったり、そして何より糞尿の世話をしている。やってることは同じなのに、どうして老人老人介護は憂鬱で犬のお世話は楽しいのだ。 おかしなものである。 その違いは一つしかないのだ。 犬は可愛いけれど老人は可愛くない。 可愛いければ糞尿の世話も苦にならないということなのだ。 歳老いた老人の外見はお世辞にも可愛いとは言えない。しかも、人間にはプライドがある。若い者より長く生きてきたんだというプライド。ましてや企業の管理職にでもなった人は「俺は偉かったんだぞ。」などと心の底で思っている。 そんなニュアンスで若い人に接すればますます可愛くない。 老人介護が憂鬱なのは人間独特の性分によるものなのである。 チャチャのお尻の糞を拭きながら、僕は歳をとったら可愛い老人になった方がいいと思った。 明るい色の服を着てユーモアのあることを言っていつも笑っている。 時にはバカな失敗もやる。バカだと言われてもニコニコしている。 立派な老人じゃなくて可愛い老人になろう。そうすれば多少お漏らししても許してくれるだろう。 「おじいちゃん、またこんな所におしっこしちゃって!ダメでしょ!!」と怒られたら「ワン」とだけ応えて尻尾を振れば介護も明るくなる

チャチャ日記5

当たり前のことだが、犬を飼うということは犬のお世話するということだ。 これが意外と大変なのだ。 何より手間が掛かるのは糞尿の世話である。 チャチャが我が家に来たばかりの頃、おしっこ場所がなかなか定まらなくて苦労した。おしっこスマットを敷いて時間を掛けて教えているうちに今ではトイレタイムを失敗することはなくなった。 とは言え、おしっこマットの取り換えや、糞の回収、垂らしたおしっこを拭き取るなどの作業は忙しいのだ。 さらにブラッシングも欠かせない。 毛足の長いチャチャはよく毛が抜ける。 我が家の床はダークブラウンの木の床なのでチャチャの白い毛がよく目立つ。 きれい好きの妻が必死になって掃除してもなかなか追いつかない。 「掃除機かけたばっかりなのにまた毛だらけなのよ。ノイローゼになりそう!!」と妻の悲鳴は毎日のように聞こえてくる。 そして、さらに食事の用意も大変だ。 我が家では鹿の生肉を与えているがそれだけだと栄養が偏るのでドライフードや野菜を混ぜて与えている。 犬は何でも食べてしまうので犬の栄養管理は飼い主がしっかりやらなくちゃならない。 毎朝の散歩、月に2度のお風呂、定期的な動物病院の診察などなどやることはたくさんある。 犬のお世話は大変だけれども意外と楽しみながらやっている。 そんな時、ふと気が付いた。 「やってることは老人介護と同じじゃないか!!」 バランスのいい食事をつくったり、お風呂に入れてあげたり、医者に連れて行ったり、そして何より糞尿の世話をしている。やってることは同じなのに、どうして老人老人介護は憂鬱で犬のお世話は楽しいのだ。 おかしなものである。 その違いは一つしかないのだ。 犬は可愛いけれど老人は可愛くない。 可愛いければ糞尿の世話も苦にならないということなのだ。 歳老いた老人の外見はお世辞にも可愛いとは言えない。しかも、人間にはプライドがある。若い者より長く生きてきたんだというプライド。ましてや企業の管理職にでもなった人は「俺は偉かったんだぞ。」などと心の底で思っている。 そんなニュアンスで若い人に接すればますます可愛くない。 老人介護が憂鬱なのは人間独特の性分によるものなのである。 チャチャのお尻の糞を拭きながら、僕は歳をとったら可愛い老人になった方がいいと思った。 明るい色の服を着てユーモアのあることを言っていつも笑っている。 時にはバカな失敗もやる。バカだと言われてもニコニコしている。 立派な老人じゃなくて可愛い老人になろう。そうすれば多少お漏らししても許してくれるだろう。 「おじいちゃん、またこんな所におしっこしちゃって!ダメでしょ!!」と怒られたら「ワン」とだけ応えて尻尾を振れば介護も明るくなる