立ち止まった時に見える自然

何気なく、膝を折った目のまにトンボがいました。「あれ、こんなところにトンボが」と思い、手を伸ばしたところ!!!!!植物にとまったまま、命果てていました。「この頃の寒さを越せなかったのかなぁ」と、思いながら目を動かすと、すぐそばにも同じような姿のトンボがいました。命果てたトンボは藪を利用する小型の鳥に見付けられて餌になるのだろうと思います。

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トンボがとまっている植物は「センダングサ」というキク科の植物です。同じ種で外来種に「アメリカセンダングサ」という植物があり、どちらも他の生き物を利用して種子散布をします。人の衣服にもくっつくので「ひっつき虫」と言った方が思い当たるかもしれません。

以前、車に轢かれてキツネの遺体を調べていたときにキツネの尻尾にこの種子が沢山ついていたことがありました。「あ〜、このキツネはセンダングサがあるような土手を歩いていたのだなぁ」と、情景が思い浮かんできました。

キツネというと、市街地の横断歩道を渡っているキツネを見たことがありました。そのキツネは、歩行者用の信号が赤の間は歩道に佇み、青になったところで歩道を渡り、渡り終わると一度振り返り、そして歩いて行きました。嘘のような光景に、もしかしたら、このキツネは普段は人の姿になり、アルバイトでもしに来ていたのではないかなぁと思うほどの人らしさで、スタジオジブリの「平成狸合戦ぽんぽこ」を思い出しました。

市街地には人しかいないように感じてしまいますが、植物や動物たちは、その環境を使って私たちの想像以上に、したたかに知恵を持って暮らしています。ちょっとした光景の中に、それを見つけることができたなら、自分を取り巻く環境の変化に気がつくことができるのではないでしょうか。森の中でも大きな変化が起きる前に、小さな変化が起き始めます。自然には、変化がつきものです。変わらない自然の方が不自然なのです。

その変化が私たちの生活にどう関わっているのか?変わっていくとしたら、私たちの生活はどうなっていくのか?建物の中にいて、室温も調整された生活をしていると中々変化を捉えにくくなっています。忙しい毎日であり、コロナでなかなか外出もままならないかもしれません。けれど生き物はどこにもいます。ちょっと、足を止めてみる。膝を折って座ってみる。立ち止まって見上げてみる。そこには、必ず何かがあると思います。気がつき始めると、次々と見えてくると思いますよ。