【ぽんずの夢旅つづり】「キョン」から感じた”いのち”のおはなし

 

 

 

 

 

 

 

「ぽんずの夢旅つづり」

千葉の君津で “いのち” について考えてみた。

 

 

 

 

 

 

 

千葉県の君津市って知ってる?
房総半島の真ん中あたりにあって、千葉県で2番目に広い市なんだってさ。

海はないけど、”ケモノ” っていう生き物がウジャウジャいる「森」とか「山」があるらしいよ。
もしかしたら、ボクの大好物「鹿ジャーキー」がいるかもしれない!

晴れて、ピカーッてお陽さまの照る秋の日に、ホーリーと一緒に君津の山の中を旅したんだ。
そのとき、ボクは初めて「キョン」っていう生き物に会った。

えーっと、正確にいうと、”会った” じゃなくて “見た” かな。なぜなら、もうそのキョンは息をしていなかったから。
その日の朝、「くくり罠」っていうワナに捕まっちゃったんだって。

 

 

 

 

 

 

 

 

みんなは「キョン」って知ってる?
もともとは中国や台湾にいたシカ科ホエジカ属で、まぁ、シカの一種ってことみたい。

もともと日本にはいなかった動物で、「環境省指定特定外来生物」なんだって。
でも、普通のシカと違うのは、すっごくちっちゃいこと。

そうだなぁー、柴犬と同じくらいかもしれない。

この日、洗濯ものを干す台みたいなものに吊るされてたキョンは、体重約9kg。ボクの1.5倍。

猫と鹿なのにこの体重差。馬と鹿じゃないよ! 信じられないよね?
猟師のおじさんに聞いたら、成獣で中型犬くらい、幼獣だと子猫くらいの大きさなんだって。

そのくらいちっちゃいキョンだけど、声は大きくて、怪獣みたいに「ぎゃーっ!」って鳴くらしいんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

キョンは今、千葉県と、伊豆大島ですっごく増えていて、

千葉県には5万頭以上、伊豆大島には約2万頭のキョンがいるらしいよ。
伊豆大島では、最近、繁殖数と捕獲数が同じくらいになってきているみたいなんだけど、千葉県ではまだ増え続けているみたい。

ちっちゃくてカワイイから少しくらい増えてもいいんじゃない、なーんて、猫のボクは思ったりするんだけど、みんなはどう思う?

ボクが解体されてるキョンを見ながら「かわいそう…」って言ったら、これはとっても大事な問題だから、
感情に流されないで、ちゃんと考えなさいってホーリーに言われちゃった。
だから、ちっちゃい猫アタマで、自然のこと、野生動物のこと、農業のことを、ボクなりにもう一度真面目に考えてみようと思う。

そうそう、吊るされたキョンはどうなったかって?
それはね、ちゃんと解体されて「森の恵み」になったよ。
でもね、ボク、”いのち” ってなんだろうなぁ、って、しみじみ考えちゃった。
答えなんか出せないのかもしれないけどね…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜、ボクは生まれて初めて「キャンプ」っていうのを経験したんだ。
月が明るく森を照らしてて、ライトなんかなくても散歩できるくらい。
真夜中、近くでキョンが「ぎゃーっ!」って鳴いた。移動しながら何度も何度も鳴いてた。もしかして、いなくなった仲間を探してたのかなぁ…。
ビビリのボクがしっぽを膨らませてホーリーの寝袋に飛び込んだことは、旅の思い出ってことにしておこう。