森林に思いを馳せるとき

仕事の休憩時間、高い場所から眺めると、連なる山々を見渡すことができます。冬を迎え広葉樹は落葉し、アカマツの深い緑が目立つようになっています。空に目をやると、青さが濃くなった空に白い雲が浮かんでいます。その空をトンビが大きな輪を描きながら飛んでいます。何かを狙っているのかもしれません。

こんな風に森林を外から眺めるのは「人間」だけかもしれないなぁ。と、ふと思いました。

私が、こうやって眺めている森林は沢山の生き物の生活の場所です。その森林の中で命を繋いで生きている、植物や動物たちは「明日はどうしよう」という未来を思うということは無いのではないかと思いました。

大切なのは「今」だけなのかもしれません。

空腹や、寒さや暑さ、雨や風。どんな時も、その場所でやり過ごさなければなりません。「今」を生き抜くことで、次の「今」がやってくる。「今、今、今…」が積み重なり「次」が生まれてくる。そんな、過ごし方をしているのではないかと森林の中に思いを馳せました。

このように、自分以外の生物に思い浮かべるのは「人」という生物が持っている特性だと思います。

植物は、動かない代わりに他の生き物を利用し遺伝子をのこします。動物たちも、昆虫も、自分の遺伝子をのこすために行動します。そのように森林の中で暮らしていても、そこが森林だということを考えいることは無いと思います。自分が暮らしている森林が、どのような状態になっているのかなんてことは意識せずに暮らしているのではないでしょうか。なので、その場所が自分に適さない場所となると、「適していない」などということも考えることもなく移動していくか、時には命を落としていくか。

私たち「人間」は、森林をみて、今どうなっているのか、どうしていきたいかを考えることができる生物で、そしてそこを意図的に変化させていける唯一の生物なのでは無いだろうか?

私たちは、建物の中で気温さえもコントールして暮らしています。空を飛ぶトンビは自分の羽で飛んでいるけど、私たちは自分の足で歩くスピード以上のスピードで移動することを当たり前のように思っているけれど、それと引き換えたものはなんだろうか?

連なる山々を眺めながらそんなことを考えた、昼休みでした。