【夢旅 017】 おばちゃまの魔法

ネコ、新宿でエコを考える

 

高っ!

地上52階、チョー高層ビルの下で絶句。

今回は、1回目のお話でチラリと紹介したピーさん(近所でブイブイ言わせている老猫)と一緒に新宿へ。ボクはピーさんとふたり、ビルの入り口であまりの高さに口をポカンとあけてしばらく呆然としてしまったよ。だってさ、ボクが毎日登ってるネコタワーがありんこのおもちゃみたいに感じるよ。猫生経験が豊かなピーさんが世界一高いビルだって、自分で建てたわけでもないのにボクに自慢しまくった近所のマンションが11階建。あーなんてことでしょう。世の中にはこんなに高いビルがあるんだなぁ。このビル、210.3メートルらしいんだけど、距離って、横にしたときよりも縦にしたときのほうが長く感じるよね。わかる?

猫は高いところが好きだけど、重力に逆らってこのビルのてっぺんまで登るなんてイヤだね。当然、横にいる旅の相棒も同じだろうと思って「登りたくないよね。」って聞いたら、「ワシは210メートルくらいだったらひとっ走りだな。横っ飛びでビューッとな。」って、ピーさん、横に飛んだら階段一段も上がれないんですけど…。

 

ところで、ボクたちがここに来たのはチエコさんの話を聞くため。ボクもピーさんも鹿ジャーキーが大好物なんだけど、「鹿のめぐみ」っていうマジうまい鹿ジャーキーを作ってくれたのがチエコさん。だから、ボクたちにとってチエコさんは猫生に欠かせない大切な鹿ジャーキーのおばちゃまってわけ。

今回、ホーリーが、チエコさんは他にもすごいことをいっぱいやってるから、一度話を聞きに行こうよっていうから、一緒に新宿まで来たんだ。もちろん、鹿ジャーキーにありつけるかもしれないっていう下心があってのことだけどね。だから、ピーさんも誘ったんだ。

 

で、なんの話だっけ?

そうそう、新宿まで下心を抱えてチエコさんの話を聞きに来たって話だよね。

ぶっちゃけ、チエコさんはまるで魔法使いだった。だって、作っちゃうんだ、アレを。って、最近なんでもアレとかソレで済ませちゃうのは、我ながらどうかと思う。さっきもホーリーに「ソレをアレに入れといてね」っていっちゃったけど、ちゃんと鹿ジャーキーをジップロックに入れるなんて、えらいぞ、ホーリー。

 

そう、作っちゃうんだ、洋服から白い花とかねぷた祭りの山車とかどデカクリスマスツリーとかを。洋服って、一年に世界で28億枚以上作られいて、そのうちの半分以上が新品のまんま捨てられたりしてるんだって(2019年)。つまり、14億枚位以上がゴミになってるってことだよね。うわぁ、なんてモッタイナイ、でしょう。

でもね、捨てられようとしてる洋服を紙にしちゃうのがおばちゃまの魔法。あら不思議、布が紙になっちゃう。しかも、その紙がすごく落ち着いた風合いの紙で、めっちゃ感じがいい。猫的には、この紙でボールを作ったらさぞかし爪の刺さり具合が気持ちいいだろうなぁ。というくらい感じがいい。

 

でも、チエコさんの魔法のホントのすごさは、いろんな人を吸い寄せちゃうとこなんだ。老若男女津々浦々いろんな人がどんどん吸い寄せられちゃう。じゃんじゃん吸ってぐるぐる巻き込んで、そんで、フワッと魔法をかけて解き放つ。魔法界のダイソン。

魔法にかかったたくさんの人があちこちで魔力を発揮するからどんどん大きくなっていく。なんていうと、なんだかやばい洗脳集団の話みたいだけど、ある意味そうで、アリジゴクみたいな話で、って違うだろ!

そうじゃなくて、人を魅了する不思議な魔力、じゃなくて魅力があるんだよね、チエコさんには。ボク、きょう初めて会ったけど確信したもん。ゴロゴロいったらすぐにお腹なでてくれるだろうし、鹿ジャーキーもバンバンくれるって。

 

で、なんで紙かっていうと、洋服のリサイクル率って17.5%なんだって。でも、紙は回収率が85%で、古紙利用率は67%。紙のほうがぐるぐる回って再利用されやすいんだよね。だから紙。ぐるぐる回ってゴミがゴミじゃなくなるんだ。

 

それにしても人間って、いろんなものを作っていろんなものをゴミにしちゃうよなぁ。でも、猫はなんにも作らないから、ゴミになるものなんてゼロだ。ネコはエコ。さぁ人間よ、我らを見習うがよいぞ。あ、でもね、鹿ジャーキーは作って。じゃんじゃん作って。ボクもピーさんもアレがないとソレになっちゃうから。