チャチャ日記 2
昨年10月から犬を飼っている。
犬の種類はジャックラッセルテリア。
ヤンチャな顔付きが気に入って即決した。しかし、ジャックラッセルテリアをネットで調べてみると、最初に出てくるキィワードは(ジャックラッセルテリア・飼ってはいけない)なのである。
多くの運動量を必要とするこの犬は毎日散歩を欠かせない。運動不足になると噛み癖吠え癖が出てきて手に負えなくなり途中で放り出す飼い主が多いからだと言う。
一時は思い留まりそうになったが、僕は一日中大人しくソファーで寝ているような人形のような犬は好きじゃない。
そうかと言ってマンション住まいの僕は大型犬を飼う訳にはいかない。犬にとっても不幸なことになる。
犬に服を着せたり犬を乳母車に乗せたりするのも嫌だ。犬は犬らしく元気に飛び回る方がいい。時にはアウトドアにも連れ出したいと思うと、やっぱりジャックラッセルテリアになってしまう。
毎日の散歩をきちんと続けられるかどうかわからないが頑張るしかないと覚悟を決めた。
幸いにも僕は5時過ぎには目が覚めてしまう。だから朝一の散歩ならばできるかもしれないと思った。
僕が目を覚ます頃、既にチャチャは起きている。僕のベッドの横でじっと座って待っているのだ。
「おおっ、起きていたか、散歩に行くか・・・」と声を掛けて、チャチャにベルトを装着し夜明けの街へと歩き出すのが日課だ。
この散歩、既に3カ月以上も続いているからビックリだ。
僕はこれまでにジョギング、水泳、スクワット、エアロビ、スキップ歩行、ジム通いなど、様々なトレーニング方法をトライしてきたけど毎回挫折してきた。
寒さや雨で挫けたり、出張や深夜残業で途切れたり、一度躓いてしまうとその翌日から続けられなくなってしまうのだ。
ところが今回は途切れなく続いている。
理由はチャチャがいるからである。
たとえ僕が出掛けなくなくてもチャチャは行く気満々。僕の目を見て静かに座っているチャチャと目が合うと行かざるを得なくなってしまうのだ。
少しタレ目の黒目だらけの瞳で、何も言わずに僕をじっと見つめる。この表情が堪らない。思わず「わかったよ、行くよ。」ということになる。
毎朝1時間半の散歩の結果、驚いたことに僕の体重が5キロも減ってしまった。
毎週ジムで腹筋をし続けてきてもまるで凹むことのなかった腹も凹んでしまった。僕の体重は15年前と同じ体重だ。
「すっきりした体型になりましたね。」と友人にも言われて嬉しくなった。
チャチャのための散歩なのに、いつの間にか自分のためになっている。チャチャエクササイズの絶大な効果である。
何かしてほしいことがある時、チャチャはただじっと僕の目を見つめる。
そのアクションにやられてしまい、今日もまた「わかったよ。散歩行くよ。」とか「わかったよ、鹿肉もう少し増やしてやるよ。」と応えてしまう犬ライフなのである。
本田 亮 ほんだ りょう
CMプランナーとして、ピッカピカの1年生など数多くのキャンペーンを企画・制作してきた。
サラリーマン転覆隊隊長として、世界中の海山川を旅し、その体験をアウトドア雑誌などで連載中。
環境マンガ家として、様々な社会問題を取り上げ楽しくわかりやすく解説している。