どんぐり

気温が変わると、植物も変わる。

9月半ば。長野県佐久市の道路に設置されている温度計は34℃を表示していました。えっ!9月だよね。周囲の田の稲は黄金色になり始め、首を垂れ始めています。

今年の稲刈りはどうなるのかなぁ。この時期になると心配になってきます。暑くて、汗を拭き拭き稲をかける?大きな台風が来て、丹精こめた稲が倒れてしまい、収穫にならない?雨が続いて、田植えをするような田で稲刈り機もぬかるみにはまって動かなくなり、ロープで機械を引っ張りながらの汗だく稲刈りになる?

田畑を営んでいると、心配はつきません。

野菜も稲も植物です。気温や雨の量で育ちや収穫量が異なります。野山に暮らしている植物も同じです。気温や雨の量、そして土壌の水分量の違いで生育が変わります。

生育が変わるだけでなく、場合によってそこに暮らすことを辞めてしまいます。

野山に自然に生えている植物(草は時に雑草と呼ばれますが)は、決してデタラメにそこに暮らしているのではありません。

「ドングリ」と呼ばれる実をつけるブナ科を例にお話ししますね。ドングリというと茶色で帽子を被った姿を思い出す方が多いと思います。けれど、どこの土地でも同じ「ドングリ」を実らせているわけではありません。ドングリと呼ばれる実はブナ科の種子をさしています。ブナ科には「クリ属」「シイ属」「ブナ属」「マテバシイ属」「コナラ属」があります。この中で「シイ属」は日本に2種あり、「ツブラジイ」と「スダジイ」があります。この2種はいずれも常緑で一年中葉をつけています。両種とも温帯に分布しています。一方「コナラ属」は種数が多く「コナラ」「ミズナラ」が有名どころです。これらは、落葉紅葉樹で秋に紅葉し、冬を迎えると葉を落として暮らします。こちらは冷温帯に分布しています。暖かい地方の「シイ属」と寒い地方の「コナラ属」。このように棲み分けをしているのですが、温暖化が進んで日本列島の平均気温が上がると「コナラ属」は生育に適さなくなるので、そここら姿を消すことになり、変わって暖かいところが好きな「シイ属」の分布が広がります。紅葉が見られる場所も限られてくるということですね。

温度だけとっても、このように分布が違うことがお分かりいただけたでしょうか?普段、周りに緑色の植物があると自然が豊か!って思うかもしれませんが、知らず知らずの内に植物の種類が変わっている。なんてこともあるんですよね。なんか、地球人に宇宙人が混じっている?みたいに!なんて「新ウルトラマン」を観た影響が残っている!