ぽんずの夢旅つづり
ほり ぽんず
夢見るボクは、気ままな旅猫
ボクの名前は「ぽんず」。ポン酢じゃなくて、ぽ・ん・ず。
日本猫。トシは……、ウ〜ン、言わない。
セクシャリティーは、猫社会ではチョイチョイ使われる、いわゆる「去勢オス」。
これを「キョセイオス」って書くと、なんだか古代ギリシャのめっちゃ強い闘士みたいだよね。
ボク、すっごいビビリだから、「キョセイオス・ポンズ」なんてのもいいかな、なぁーんて思ったりもするけど、やっぱりボクはひらがなの「ぽんず」が好き。
ボクは、東京の多摩地区っていうところに「ホーリー(猫語で “執事” の意)」と、「ワミさん(ホーリーの飼い主?)」、白黒ハチワレ猫の「ねぎま」と一緒に暮らしている。
ここに海はないけど、まだまだ森があって、いろんな生き物の気配を感じるんだ。ついこの間、ホーリーが玄関先で「タヌキ」っていう動物に会ったと言ってた。
ボクはタヌキっていう生き物がこの辺にいることを初めて知ったよ。
タヌキって、ピーさん(近所に暮らす野良の老猫)の友だちなのかな?
ピーさんの友だちなら、ごはんの婆ちゃんとか、おやつ投げの元ヤンおじさんとも知り合いなんだろうなぁ。
ボク、ビビリだから、家から一歩も出たことないんだ。でも、外の世界にすっごく興味あるから、外のことを知りたくて、ワミさんが洗濯物を干すちょっとしたスキにベランダに出てみたりするんだけど、それだけで心臓がバクバクしちゃう。
だから、ピーさんがときどきウチの庭先にきて、外の世界のことを話してくれるのがめちゃくちゃ楽しみで、ワクワクしちゃって、オシッコちびりそうになるんだ。
でもね、オシッコちびりそうなほどワクワクすると、なぜだか眠くなっちゃう。そうすると、いつもピーさんが「ぽんず〜!」って起こしてくれるんだけど、そのとき、「ちゃんと聞いてんのかよ!」って聞くから、「森に行って鹿ジャーキー食べた話…、だよね?」って言うと、「そうだけど、なんで? お前寝てたじゃん。」って言われるんだ。
うん、寝てた。爆睡してた。夢も見てたし寝言を言ったかもしれない。
でも、ちゃんと森に行って、木や葉っぱの匂いをかいだし、鹿ジャーキーも食べたんだよ。歯えごたえがあって、旨味が濃くて、肉食ってる感バリバリで、ものすごく美味しかった。
ピーさんが行った所に行きたくて、ピーさんが食べた鹿ジャーキーを食べたくて仕方がなかったんだよね。
そんな風に、ボクはいつしか、ただ願うだけで眠っている間に行きたいところに行って、まだ知らない生き物や珍しいものに出会って、好きな鹿ジャーキーだってお腹いっぱい食べられるんだ! 夢旅ができちゃうんだ。
だから、これから週イチでみんなにボクの気ままな旅のお話をするね。
さぁ、きょうはどこ行こ。