
チャチャ日記14
僕にはぎっくり腰という持病がある。
重たい荷物を持った時やくしゃみをした時に突然ギクッと腰に痛みが走って動けなくなることがよくあるのだ。
昨年は北アルプス縦走中に標高3000mの山小屋で(ギクッ)と来てしまい大ゴトになった。
幸い僕の友人が僕の荷物を全て担いでくれたためなんとか下山できたけど、動けないままだったらヘリコプターを呼ぶところだった(汗)。
ギックリ腰になりたくないので立ち上がる時やくしゃみする時は特に気を付けているのだけど、近頃ははっきりした理由もないのに前触れなく(ギクッ)と来ることがある。
こうなるともうどうしようもない。原因は老化なのかもしれない。
ギックリ腰になったら安静にしているのが一番いいと医者は言うが、どんなに体調不良でもチャチャの散歩タイムはやって来るのだ。
「今日は腰が痛いから行けないんだ。」などとチャチャに話し掛けても「そんなの関係ない!!」「早く行こう行こう!!」と尻尾を振るチャチャに急かされて、止む無く腰痛バンドを巻き付け朝の散歩に出掛けることになる。
運動を欠かせないジャックラッセルテリアを飼っしまった宿命である。
ギックリ腰は筋肉や筋が硬くなることが原因で起こるという。
僕はもともと体が硬いのだが、最近はさらに体が固くなっていると感じる。
そのためできるだけ柔軟運動をした方がいいのだけど、僕は柔軟運動が大の苦手。
筋トレやウォーキングには前向きに取り組めても、静かに筋を伸ばしながらじっとしていることができない。
ヨガなどやってもすぐに飽きてしまう。
泳ぎ続けているマグロのような性格なのですぐに別の行動を起こしたくなってしまうのだ。
ところが最近、柔軟運動の良い方法を思い付いた。それはチャチャの散歩中にやることだ。
毎回毎回チャチャはあっちの電信柱、こっちの植え込みで臭いを嗅ぎながら歩く。
そんなチャチャにいつもいらだっていたのだけど「この待ち時間を有効に使えばいい!」と閃いたのだ。
チャチャが臭いを嗅ぎ始めたら僕も足を伸ばしたり腰を伸ばしたり体をひねったりする。
ただ待つ時間は退屈だけど、柔軟タイムだと思うとあっという間に時間は過ぎてしまう。最近ではチャチャの臭い嗅ぎタイムが短いと感じることさえある。
「もう嗅がないのかよ?俺はもう少し足を伸ばしてるぜ!」
そう語り掛けチャチャを待たせることもしばしば。
チャチャが僕の方を見上げながら「まだやってるの?遅いなぁ~」というような顔をする。
チャチャも待つ人の気持ちが少しはわかっただろう。
待たせる側と待つ側、いつの間にか立場が逆転している。
朝の散歩タイムは持ちつ持たれつ。
お互いの健康管理にとても役立つ友情時間なのである。