【夢旅 059】いっしょに逃げてもいいんだよ

 

いつかやってくる “万が一” のために

今回はちょっと真面目な話をするね。
2024年1月1日 そう、新しい年が始まったばかりの元日の午後16時10分、石川県能登半島沖を震源とするマグニチュード7.6の「令和6年能登半島地震」が起きた。ひどいところでは震度7の揺れが襲ったことはみんなよく知ってるよね。

あの時、ボクは、ぬくぬくと温かいリビングでいつものようにウトウトしていた。ホーリーは日本酒、ワミさんはビール(正真正銘の)っていう不思議な水を昼間からしこたま飲んでいた。そして、酔っ払ったふたりは、こたつで寝っ転がりながらだらしなくテレビを観ていた。ダラダラとしたお正月らしい時間が千鳥足で過ぎていた。
と、いきなり緊急地震速報が流れた。とてつもなく耳障りで怖さ増し増しになる速報の音。ボク、あの音を聞くと心拍数が爆上がっちゃう。すっごくドキドキする。だって、あの音が鳴ると家が揺れたりするから。地震っていうらしいんだけど、なんで家が揺れるわけ? 意味わかんない。

揺れが始まるやいなや、ボクはあわてて猫タワーの上に逃げた。ところが、猫タワーの上って床の上より揺れるんだよね(そりゃそうだ)。ぐわんぐわん揺れる。それで大至急床の上に下りたんだけど、床もまだ揺れてるじゃん。元日の地震は横揺れで、船に乗って揺られているような感じ(ボクは、北海道縦断歩き旅のときにホーリーとふたりで大きな船に乗って揺られた経験がある)だった。長い時間家全体がゆら~ゆら~っと横に揺れていて、ボクは床の上でどうしたらいいかわからず、ただ目をまん丸にして右往左往していた、らしい。ねぎま先輩はというと、ずっとこたつの中に入ったきり出てこない。
真っ先に猫タワーに登ったボクと、地震がきたらとりあえず机の下に潜りましょう的な反応を見せたねぎま先輩、どちらが優等生かは一目瞭然。うろたえるボクと泰然自若としたねぎま先輩。やっぱり、女子は肝が据わっているのかもしれないなぁ。

東京から離れたところで起こった地震なので、ボクの家は何事もなかったのだけれど、能登半島では地震の揺れだけじゃなく津波、火災、土砂崩れ、液状化現象などが起こった。家が燃えて壊れ、ビルが倒れ、いろんなものが海に流され、道路が割れ、水も電気も使えなくなった。ついさっきまであったものがいきなり無くなり、ついさっきまでいっしょにテレビを観て笑っていた人がいきなりいなくなってしまう。
ボクは、ぬくぬくウトウトしていたこたつもリビングも家も無くなって、ホーリーもワミさんもねぎま先輩もいなくなってしまうことを想像してみようとするのだけれど、あまりにも怖すぎて頭がフリーズしてしまった。

阪神淡路大震災、東日本大震災、そして今回の能登半島地震のような地震がもしも東京で起こったら…。幸い家族が無事だったとしても、家が壊れてしまったり水道や電気などのライフラインが止まってしまった場合、家族みんなで避難所に避難することになるよね。そんな時、家族の中にボクやねぎま先輩のようないわゆる「ペット」がいる場合はどうする?

「もしも震災が起こったら」。
地震などの災害はいつどこでどんな状況で起こるかまったくわからないもの。だからこそ、日頃から災害時にはどんなことが起きてどんな状況に置かれるのか、シミュレーションしておくことってすごく大事なことじゃないのかな。てか、考えておかなきゃダメでしょ。どこに避難するか、どうやって避難するか、何を持って行くのか、何を備えておくのか。この機会に、家族でちゃんと話し合っておかなきゃいけないよね。

「同行避難」って言葉を知ってる?
これは、家族であるペットといっしょに避難場所に逃げることで、国としては同行避難を推奨してるんだ。でも、国の方針は一つでも、現状は地域によってまちまち。だから、もしも避難所で同行避難が受け入れられなかった場合のことも想定しておく必要がある。

もしも、避難所でのペットの受け入れがNGだった場合、次にとる行動としては

①親類や知人の家にペットを預ける
②車やテントを活用してペットと一緒に避難生活をおくる
③ペットは自宅で、人は避難所で別々に避難生活をおくる(家が無事な場合)

というような方法が考えられるけど、どれにしたって事前にいろいろと備えておく必要があるよね。人間のためのものを備えておくのはもちろんだけど、ペットのためのものだってちゃんと備えておかないと避難生活はおくれないでしょ。
特に大事なのは、ペットの命や健康に関わるもので、ご飯や水や薬などは第一優先だよ。特に、普段、療法食を食べている子や、偏食でいつも食べているものしか受け付けないというような子の場合は、いつもの食事をちゃんと用意しておいてね。ご飯の備えは、最低「5日分」だよ。詳しいことは環境省が発行しているパンフレットを読んでね。

おお、そうだ、鹿ジャーキーをたっぷり備えておくようにホーリーに言っておかなくちゃ!

<参考資料>
環境省パンフレット「備えよう! いつもいっしょにいたいから」(PDF版)
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/h2309a.html