第三回 がんばれラスティ
今年の夏は本当に暑い日が続きました。私達人間も暑さを凌ぐのにとても苦労していますが、毛皮をまとった犬にとってはさぞかし暑くて大変だろうと思います。
ラスティはボーダーコリーで、この犬種はダブルコートといって、オーバーコート(上毛)とアンダーコート(下毛)の二種類の毛が生えています。そういう犬種とそうでない犬種がいるそうです。(そんなこと、犬を飼うまで知りませんでした。)アンダーコートは皮膚に近いところに生えているフワフワの短い毛のことです。これは夏には抜けるので、ちょっと外見がスマートになった感じになります。冬にはこれが大活躍して寒さを防ぎます。ある年に東京でも雪が降ってラスティの毛の上にチラチラ積もってきたのですが、キラキラの結晶のまましばらく溶けなかったのでびっくりしました。それだけ断熱効果があるんですね。
そんな上等な毛皮をまとったラスティは、やはり夏場の暑さに弱くて元気がなくなります。散歩嫌いなせいもありますが、朝、散歩に行く時間だとわかるとテーブルの下から出てきません。けれど散歩の行先が「森の公園」だとわかると、途端に玄関まで出てきて「出発はまだでしょうか?早く行きましょう!」というルンルンモードになります。この森の公園は都会の真ん中にあるとは思えないほど沢山木々が生えていて木陰が多く土の地面も多いので、熱いアスファルトで犬の足裏をやけどさせてしまう心配もありません。怖いバイクにも出会いません。ラスティにとってはパラダイスなのです。
でも、やはり歳のせいでしょうか「森の公園」でまったりする時間が以前より長くなりました。公園に着いてから直ぐに座り込んだり、寝転んだりして一時間近くボ~っとしています。引っ張っても動こうとしません。歩きたくないし、多くのボーダーコリーが大好きなフリスビーやボール遊びなんて全く興味なしだし、ただゴロンとして土や草の匂いが嗅げるのが嬉しいのだと思います。そしてここには彼が大好きなイネ科の草もたくさん生えています。本来ボーダーコリーは羊を追う仕事をする作業犬なのですが、そんなこと僕には関係ありません。飼い主が止めるまで、ムシャムシャ、ムシャムシャ…やっています。そう、まるで…羊です。
獣医さんに「脚が弱ってしまわないようになるべく歩かせて下さい。できれば坂道がいいです」と言われました。そこで長い休憩の後は、公園の中でもなるべく上り下りのあるところを選んで、しかも以前より長い距離を歩くようにしています。「老犬でも、若い犬に引っ張られて歩いているうちに脚の筋肉が増えた」と他の犬の飼い主さんに教わったので、私は嫌がるラスティを引っ張りながら「頑張れ~頑張れ~」と声を掛けながら歩いています。実はこれは私に確実に負荷がかかっている状態です。う~ん、確かに「高齢者でも、飼い犬を引っ張って歩いているうちに脚腰に筋肉がついてきた」感じがします!
うぇーい、ラスティに感謝!