【夢旅 013】 ウソ〜?! 鷽が嘘にしてくれるって、ホント?!

 

 

 

 

 

 

あんなこともこんなことも、イヤなことはぜ〜んぶウソ!

猫だってイヤだなぁ〜と思うことや、ムカつく〜って辺りかまわずガリガリやりたくなることもあるんだ。猫トイレの砂が手の指の間に挟まるのはイヤだし、気持ちよく寝てるときにしっぽを踏んづけられるとチョームカつく。パソコンのキーボードにのっかって、画面いっぱいに意味不明の記号を表示させてホーリーを涙目にさせたときは、マジ悪いことしたなぁってちょっと凹んだ。

でも、そんなイヤなこと、ムカつくこと、凹んだことがまるっとぜ〜んぶウソになりまーす!って聞いたらムムム、だよね。
ウマイ話にゃ裏がある、とはいうけれど、このお話に裏はございませんのよ、奥さま。なんたって、神さまがおっしゃってるんですもの。って、なんで女ことばになってるのかしら。ボクがオスだっていうのは、実はウソだったのかしら。
ということはなく、キョセイオス(去勢雄)のボクは、ときどきこんな風にオネエ調になるのでした。と、そんなことはどうでもよくて、問題はまるっとウソ化のお話。

 

突然だけど、「鷽」って知ってる?
この漢字、「うそ」って読むんだよ。ボクは、亀戸天神に行くまでこの漢字読めなかったし、もちろん書くなんて無理。で、うそが鳥だってことも初めて知ったんだ。
この鳥は、「スズメ目アトリ科ウソ属」に分類される鳥で、スズメよりもちょっと大きくて、日本全国わりとフツーにいるらしいんだ。

亀戸天神は「天神」だから、かの有名な学問の神さまとして受験生の守護神みたいな菅原道真さん(天満大神)を祀っているんだけど、道真さんが蜂に襲われたときに助けてくれたのが鷽(うそ)なんだって。以来、鷽(うそ)は災や悪事を排除してくれる(嘘にしてくれる)縁起のよい鳥ってことでありがたがられて、鷽(うそ)をかたどった木彫りの人形(木うそ)が作られるようになったんだ。

この木うそが一年分のイヤなことやムカつくことをまるっと呑み込んで嘘(ウソ)にしてくれるっていうんだからありがたいよね。都合の悪いことはぜんぶウソ。記憶にございません、どころじゃないよ。なかったことになっちゃう。ぜんぶチャラ。ブラボー!
でも、一年分を呑み込むと、さすがの木うそもお腹いっぱいになるから、翌年の「鷽替え神事」でお腹いっぱいの木ウソを新手の木ウソと取り替えるのが習わしなんだって。サイズも小さいものからデッカイものまでいろいろあるから、ストレスがめっちゃ溜まるような人は、容量の大きい特大サイズがおすすめかもね。(そういうことじゃないってか?)
それにしても、「鷽(うそ)が凶事を嘘(ウソ)に取り(鳥)替える」なんて、まるでダジャレだけど、昔の人はなんともポジティブだよね。強くてへこたれない。

亀戸天神で新しい木ウソを手に入れたから、この間、ホーリーがものすごく大事に着てる黒いセータをボクの白い毛だらけしちゃったことは、なかったこと(ウソ)になるに違いない。次はぜひ、見るからに歯ざわりのよさそうな革の財布をかじってみようと思う。猫もへこたれない。

木ウソでいっぱいの境内には本物の鳥もいたんだ。しかも、その鳥というのが「サギ」。ウソの塊というか親玉というか、オレオレな鳥が池でじっとしてた。いかにも猫だまし的な陰湿な目つきの鳥で、もし目があったら、せっかくウソになったことが実はウソになって、ウソになってほしくないこともウソになってしまうという非常にややこしい状況になってしまいそうだったので、興味津々なんだけど、木うそをしっかりと握りしめてそそくさと撤収。

亀戸天神ってとこは実にシュールなところで、誰がどう見てもニッポン的な歴史を感じる建物の屋根から、ロボット感たっぷりで、なんとはなしにキングジョー(ウルトラセブンのロボット怪獣。知ってる人は昭和の人)を思わせる東京スカイツリーがにょっきり生えてるように見えちゃう。
ウソとサギとスカイツリー。なんのつながりもないけれど、なんの違和感もなく全部がいっしょくたになった亀戸天神。なんだか、ウソとホント、過去と未来が一緒に暮らす東京の不思議スポットって感じ。

そうそう、木うそって、場所によってその表情が全然違うんだ。亀戸天神の木うそみたいにちょっとヌボ〜っとした表情のものから太宰府天満宮のキリッとした表情のものまでいろいろ。
木でできた森の恵みの縁起物を集めてみるのも楽しいかもね!