【夢旅 010】 お尻が、キュンです!
海と青と至福のプリン ①
伊豆高原の海へ行ったんだ。ここは高原なのに海が近いんだよね。
ずっとずっと南にあった火山の集まりが地下のプレートと一緒に少〜しずつ北上して、本州とくっついてできたのが伊豆半島なんだって。約60万年前のお話。
観光案内によると、約46億年の地球の歴史からみたら「ごく最近」の出来事らしいんだけど、そういわれても、おととい何食べたかも憶えていないようなボクにはさっぱりわかんないんだよなぁ。(たぶん、「鹿のめぐみ」のカリカリだと思うけど…)
でもね、これを書きながらとてもわかりやすい方法を思いついたんだ。「年」を「円」に置き換えてみて。地球の歴史を「46億円」、伊豆半島の誕生を「60万円」ってすると、どう? 伊豆半島、安っ! ってなるよね。46億円には何やったって手が届かないけど、60万円ならなんとかなんじゃね? って思うよね。手が届きそうだよね。近いよね。ね、下世話だけど、すっごいわかりやすいでしょ。
60万円の伊豆半島(伊豆半島は買えません)の海と山が近いのは、南から火山がやってきて本州にドッキングしたっていう、その生い立ちに理由があるみたいだよ。
伊豆高原駅から約1km。森の中の小さな川に沿った遊歩道をテクテク歩いて行く。ずっと下りだからラックラク。猫の足で15分くらい歩くと、いきなり目の前がパッと明るくなって川と海がひとつになったんだ。そこは「対島(たじま)の滝」っていうところで、あとで知ったんだけど幻の滝って呼ばれてて、水がいっぱい流れてるときじゃないと見られないみたい。ボクが行ったときは水がジャンジャン流れてて、滝もしっかり見えたよ。
滝からちょっと歩くと「橋立吊橋」に出るんだけど、断崖絶壁にかかるこの吊橋、いかにも2時間ドラマのラストシーンの現場ってカンジ。
刑事「もうどこにも逃げ場はないぞ。やったのはお前だよな。」
男 「・・・・・・・・・。」
刑事「お前は彼女を守りきったんだ。これ以上はもういいんだよ。」
男 「うわぁぁぁぁぁ〜っ!(泣)」
的な。
この吊り橋は、長さ60m・高さ18m。でもね、数字よりもずっと高く感じるよ。風がものすごく強かったってこともあるけど、揺れるんだこれが。おまけにギシギシいう音が怖さを盛り立てちゃってる。ホーリーをカフェに待たせておいて正解だったよ。アイツ、こういうシチュエーションの場合、ゼッタイに嬉々として揺らすはず。吊り橋の真ん中でジャンプして縦にも横にもぐわんぐわん揺らすに違いない。
ボクは猫だから高いところが大好きだけど、それでもここから下をのぞいたらお尻の穴が “キュン!” って締まったね。6階建てのビルくらいの高さだからね。前から人がきたときは、思わず「シャー!(止まれぇ〜!)」っていっちゃったもん。でも、この「お尻キュン!」なカンジ、怖いけど気持ちいいような、ちょっとエロくて不思議な感覚、ボク、わりと好きかも。
“キュン” の吊り橋を渡って岩場を降りて、風に飛ばされた波しぶきがバシャバシャかかる中、勇気をふりしぼって波打ち際まで行ったんだ。もちろん、海の水を飲むなんて無謀なことはしないよ。この前飲んで驚愕のしょっぱさにクラクラしたからね。
波が岩に当たって白く砕けるんだけど、その形って毎回違うんだよね。(当たり前だけど)
そのことが面白くて、しばらくザッバーン、ドッドーンっていう音を聞きながら砕け波に見入っちゃった。なんか、映画のオープニングシーンみたいだしね。
あとね、海が青いんだ。(これも当たり前だけど)
この前見た海はもう少し黒っぽくて濁った感じだったけど、ここの海は透明度が高くて、キッパリと青なんだよね。
透明で青い海って、なんだか “いのち” を感じるね。海に鹿はいないし、ボクは海の中では生きられないけど、でも、なぜだか海には “いのち” がギュッと詰まってるような、そんな感じがするんだよなぁ。
この透明でどこまでも青い海が、今年も元気でいてくれるかなぁ。と、水が怖いくせに海の未来を心配する猫のボクであった。