チャチャ日記7
ある日突然、チャチャの具合がおかしくなった。
前足を持ち上げたまま片足で歩くようになってしまったのだ。
過去にも片足を上げたポーズでおねだりすることはあったけれど、今回はまるで違う様子だ。
一日中、右足を持ち上げたまま歩いている。ボールを追い掛ける時も片足のままだ。
肉球にトゲが刺さっているのじゃないかと思い調べてみたが炎症さえもなかった。
しばらくすれば自然に治ってしまうはずだと考えて放っておくことにした。
そして翌朝、散歩に出掛けようとすると、チャチャの様子はまるで改善していなかったのだ。
急に不安で一杯になる。このまま片足で歩く一生になったら大変だ。
すぐに獣医さんに連れて行くことにした。
海岸近くの動物病院にチャチャを連れて行くと、その日は日曜日で休館。
どうすることもできなかった。
フェイスブックでチャチャの具合が悪いことを報告すると、たくさんのアドバイスがやって来た。
犬好きな人はとても多いのだ。
「家の犬も同じことがありました。不満がある時の仮病じゃないですか?」
「膝か肩関節のトラブルだと思います。関節に効くサプリメントを紹介します。」
「爪が伸びすぎて肉球に刺さっているケースありますよ!」
「若い犬なので成長痛です。あまり心配しないで大丈夫。」
「とてもいい犬の整体師を知っているので紹介します。」
「膝が外れるバテラという症状です。フローリングの床でよくある症状です。床はカーペットにしなきゃダメです。」
アドバイスは50以上もやって来た。
フェイスブックの影響力と友達を持つことのありがたさを思い知る。
取り合えず朝の散歩はやめて、動物病院が開く翌日まで静かに待つことにした。しかし、チャチャは不満らしい。
右足を使えなくても体力があり余っているのだ。家の中をボールを追い掛けてガンガン走る。片足のまま笑顔でガンガン走る。犬のパラリンピックがあったら優勝してしまいそうである。
翌朝、動物病院の開業時間に合わせて朝食を済ませ、チャチャに首輪を付けた。
そしていよいよ出掛けようとしたその時、チャチャが普通に歩き出したのだ。
「ん???どうなってんの??」
無理をしているのかもしれないと思い、家の周辺を散歩してみたがまるで問題なかった。
医者嫌いのご主人様に影響なのか?
医者に行くとわかって気力で治してしまったのか?信じられなかった。
結局、その日は医者に行かずに公園に行ってボール投げをして遊んだ。
時々ジャンプをするいつも通りのチャチャに戻っていた。
この回復力はいつも鹿の生肉を与えているお陰なのか?今でも絶好調のチャチャである。
我が家のフローリングをカーペットに変更する必要がなくなって僕もホッとした。