【夢旅 064】どうする? このシタゴコロ

 

 

 

懲りないふたり

ハッピバースデートゥ~ア~ス🎵
ボクとねぎま先輩が9歳になりました。ハイ、もう立派なおじさんおばちゃんにゃのでありにゃす。とはいっても、人間の年齢に換算すると56歳。まだまだ元気いっぱいに旅を続けるにょでありにゃ~す!
と、なんとなくヘンな口調ににゃってしまうにょでありにゃす。

それにゃ、すべてはこのクソ暑さのせいにゃにょでありにゃすぅ。
ちょっと読みじゅにゃいので、グーグル教授に翻訳してもらうにょでありにゃす。

そう、9歳(ワミさんは「クサイ」などと失礼なことを言う)になったのはいいけれど、37℃とか38℃なんていう、意味のワカラナイ暑さが続いているせいで、おそらくボクのしっぽの付け根あたりにあるだろう「ヤル気スイッチ」が溶けてなくなってしまったみたいなんだ。

信じられないことに、ボクの執務室には相変わらずエアコンがない。隣の部屋のエアコンを夕方までコキ使ってもなお、室温は30℃を下回らないんだ。アンビリーバボーでオーマイガーな執務環境。だから、涼しい隣の部屋で日がな一日ダラダラと惰眠を貪っているんだけど、これが実に心地いい。まるで高原。
そう、高原といえば那須高原、那須高原といえば牧場、牧場といえば山羊、山羊といえばミュゲちゃん。ということで、ボクはまた、那須高原にある恋山羊(まだ付き合ってないけど)のミュゲちゃんの実家に行ってきた。

そしたらなんと、彼女が笑って迎えてくれたんだ。頭にはティアラのようなものを着けてお洒落もしてるし。ボクは嬉しくなっちゃって舞い上がっちゃって、つい「好きです。付き合ってください!」なんて告白そうになっちゃった。でも、ふと隣を見たらホーリーがにたぁ~っと締まりなく笑っていたせいで一気に正気に戻ったんだ。ホーリーがついてきちゃったのはムカつくけど、うっかりコクりを寸止めできたのでよしとしよう。

コクって「ダメェェェェ~」ってバッサリ断られるのも怖いけど、「まずはお友達から」なんて、昭和の時代にはよくあった体よくやんわりと断られたり、とりあえず首の皮1枚でつながれてセカンド(予備)としてお取り置きされるのも嫌だ。

彼氏(または彼女)のセカンド(予備)としてお取り置きされると、自動的に「お友達リーグ」みたいなものに組み入れられて、そこではプレゼント合戦やマウント合戦や甘い言葉の応酬なんかがあって、勉強とか仕事とかスポーツなんかもがんばって、いろんな努力をしてジワジワ順位を上げていって、いずれは彼氏(または彼女)に昇格するというシステムだったんだろうか。ひょっとして、今でも似たようなシステムがあるんだろうか。まずはお友達からシステム。

あっ、これって、なんか、「バイトから正社員の道も開かれてます!」的な謳い文句にも似ているような…。

ということで、ひとまずは無謀な告白をせず、お友達リーグに入ってからの各馬一斉にスタート的な状況には陥らずに済んでホッとひと息のボク。

2度目の訪問でミュゲちゃんの実母「ユキさん」と初めてのご対面を果たしたんだ。前回はチラ見するのが精一杯だったけど、今回はちゃんと挨拶できた。怖くはないけど優しいわけでもなく、嫌われてはいないけど好かれてもいないのかなぁ、ってカンジ。

「こ、こんにちは。ぽんずです。」
「あー、アンタかい。こないだちょっと見かけたね。」
「あ、いや、あのぉ、うちのホーリーがミュゲちゃんに会いたいっていうもんで。」
「そうかい。」(モグモグと反芻しながら)
「よ、よろしくお願いします…。」
「……………。」(モグモグと反芻しながら)

と、なんとも淡白なリアクション。

雪のように真っ白な美人さんではあるのだけれど、どっしりとしていて貫禄があって、ママというより「お母ちゃん」もしくは「姐さん」といった風情のユキさん。年下の山羊に気の強い娘がいて、しきりにユキさんに突っかかって行くんだけど、その度に「小娘はすっこんでなっ!」とばかりにガシッと角で受け止めてゴッツンゴッツン頭突きをする。

山羊が頭突きをするのは「じゃれあい」や「遊び」や「スキンシップ」だったりするみたいだけど、ユキさんと小娘の頭突きはちょっと違うような気がするなぁ。
「そこに愛はあるんか?」って問われたら「んなモンあるわけねーだろ!」って即答しそうなおふたりさんだったもん。

ボクがユキさんにご挨拶している間、ホーリーはといえば、牧場長とすっかり意気投合。
泡あわの不思議水が入った缶をプシューッと開けて「カンパーイ!」なんてやってる。

なんでもこのふたり、お祭りみたいなことを企んでるみたいで、そのことで盛り上がってるみたいなんだよね。ドッグランは丸がいいか四角がいいかとか、山羊のおやつとか散歩とかって面白そうじゃん、とか、聴診器で心臓の音聴いてもらおうよ、とか、絵本の読み聞かせもいいよね、とか、写真展とかキッチンカーとか、とにかく楽しそうに言いたい放題。
「アンタたち、飲みすぎるんじゃないよ。決めたことちゃんと憶えてなさいよ。」と、看板猫のタマさんに叱られてた。

この日は、ホーリーがこのまま牧場に泊まるって言ってきかないから、ボクはミュゲちゃんと一緒に寝ようかと下心満載で彼女を探しまわった。が、ミュゲちゃんはすでに自宅に帰ったあとだった…。

どうする? このシタゴコロ。