チャチャ日記10
チャチャが我が家にやって来てからちょうど1年が経過した。
ジャックラッセルテリアはしっかり運動させないと吠え癖、噛み癖などが始まり手が付けられなくなるというので、毎朝1時間半の散歩をしてきた。
「いつまで続くのかな?」と不安に思っていたが、結局1年間休まずに続いた。
スマホのアプリで確認してみると、なんとこの1年間の1日当たりの平均歩数は8800歩。これは驚異的な数字だ。
デスクワークが忙しかったり雨が降ったりしたら当然歩数も減る。スマホを持ち歩かない日だってある。
それなのに9000歩近いということは、連日のように1万歩越えているということになる。
会社勤めをしていた頃、1万歩越える人ってどんなライフスタイルなんだと思っていたけど今なら納得できる。
犬を飼えば誰でも1日1万歩を達成できるのだ。
チャチャは朝の散歩の要領がどんどん良くなっている。
最初の頃は夜明け前から「行こう行こう!早く行こう!!」と寝ている僕を起こしに来たのだが、最近はご主人様の段取りを熟知していて焦ることがない。
「どうせ準備に時間が掛かるんでしょ。」と言わんばかりに自分のベッドでのんびり僕が着替えるのを待っているのだ。
ウィンドブレーカーを着て手袋をして帽子を被り、ウンチ回収セットを手提げ袋に入れて、玄関まで行くと「やっと準備できたか。」と言わんばかりに僕の足元にやって来る。
「おまえがご主人様みたいじゃないか!」
家の外に出るとその途端に、チャチャの足取りが軽くなる。尻尾がピンと跳ね上がり胸を張ってトントントンと調子よく歩き出すのだ。
ところが家に戻ろうとすると一気に足取りが重くなる。「まだ帰りたくない!」と足を踏ん張り「そっちには行かないよ!」と動かなくなる。踏ん張る力はなかなかのもんだ。
そんな時、僕は必殺アイテムを取り出すのだ。手提げ袋の中のスーパーボールを見せると、途端にチャチャの目がキラキラと輝き出す。
車が来ないタイミングを見計らって道路にスーパーボールを転がすと、ウサギのように跳ねてボールを追い掛ける。これを何度も繰り返してるうちに我が家に近づいていくのだ。
しかし、しばらくするとその作戦も見透かされてくる。
「あれっ、家の近くだぞ。」と思うと、チャチャのスピードがダウン。
次に僕が取り出すのは、伝家の宝刀・鹿肉ジャーキーである。
鹿肉ジャーキーが出てくると、チャチャは他に何も見えなくなり、思い切り飛びついてくる。
チャチャのジャンプをうまくかわしながらマンションの裏門に誘導し、扉を開けたところで鹿肉を与える。
いつの間にか家に帰ってしまったチャチャは「あれれっ?」という顔をしながらも「まっいいか、鹿肉ジャーキー食べれたし。」と満足そうな顔をするのである