森の景色を作っているのは?

人間はどうしても、土の上を見てしまうのだと思う。

森のガイドをする時、初めに森を指差しこんな質問をします。「何が見えますか?」

あまりにも単純な質問に返答に詰まる参加者が多いのですが、そろりそろりと「森…ですかね」とか「木?です」と答えてくれます。その通り!特別なものは何もなくて立ち並ぶ木々が見えています。。

目に見えるものは、確かにそこにあるのだし、無いものは「無し」に見えるのは視覚的にはそうなんだろうと思うのですが。

この立ち並ぶ木々を支えているものが、実は土の中にあることを知識として知ってはいるけれど意識する人はあまりいないのかもしれません。その前に、土があることも忘れるほど土は当たり前なのかもしれないと思います。

樹木だけでなく、植物は土がありそこから芽を出し成長します。けれど、どのような土であってもよいということでなく、それぞれの土に適した植物がそこで暮らしています。

人が植物を育てる時は、土を作り種を蒔いたり、苗を植えたりすることが殆どではないでしょうか?こだわる方は、この植物にはこの土というように土を選ばれると思います。

自然の中の森は、土が先なのか?はたまた植物が先なのか?などと考えるときがあります。

土があるから植物があるのですが、土は植物や、菌類、昆虫、苔類などの働きがあるので作られていきます。年を重ねていくと堆積したものが変わり土の性質も変わっていきます。そうすると

その土に適した植物がその場所で生活するようになるので、森の景色も変わっていきます。

土の中では、菌類が働いています。菌類は、水分量や温度などに敏感なので、水分量や気温が変わると土の中で働く菌類も変わっていきます。植物は菌類ととても繋がりが深いので菌類が変わると植物も変わっていきます。

目の前にある、森の姿はいつも同じように見えますが、同じということの方が不自然なのです。

それぞれがつながり合っている姿がそこに森として見えています。

見えているものから、見えていないものを想像する力が森を見るときには必要になってきます。