クマと森のお話

秋になると、私が暮らす信州ではニュースでドングリ (コナラ、ミズナラ)が、豊作か不作か
という話題が取り上げられます。それは、クマとの関係があります。

本州にいるクマは首の下に白い三日月の模様がある、ツキノワグマと言います。
改めてですが、クマは何を食べると思いますか?クマは大きくて黒くて力が強くて人を襲う?
確かに。しかし、クマは食べるために人を襲っているのではないのです。
山林でバッタリ会ってしまうとクマは、ビックリして手が出ます。あの大きな手で叩かれれば当
然大怪我をします。そうすると、人は「クマに襲われた」となります。
では、クマの食べ物は?
クマは、草食よりの雑食です。キノコや新芽、木の実、鳥の卵や、昆虫、死んだ動物(弱った動
物は食べるそうです)を、実りの秋に向けては、ヤマブドウやサルナシなども木登りしながら食
べます。リンゴやカキも大好物です。木登り上手なので木に登って食べる事もあります。面白いの
は、朽木を壊してアリを食べるのですが、糞を見るとアリがそのままの姿で残っていたりしま
す。栄養になっているのかなぁ?と疑問に思います。以前、クマの糞を持ち帰りプランターに入れ
ておいたところ、ツタウルシの芽が沢山出てきました。クマは、ツタウルシの実を食べたのだ
な!と、これで知ることが出来ました。他の木の実もクマが食べ、種子が糞に混じることで種ま
きされます。クマは植物にとって、とても大事な種の運び手なのです。
冒頭に書いたミズナラ、コナラもクマの大事な食料です。コナラ、ミズナラが不作の場合、クマ
はお腹を空かせて林内を歩き回ります。林内に食べ物が少なければ、人が暮らす里に降りてきて
しまうようになります。そこで、ばったり出会ってしまえばクマはびっくり!人もビックリ!お互
いの悲劇となるのです。
北信の木島平村では、秋になると地元の高校生が民家のカキを収穫しています。木島平村は山
林に囲まれた集落です。クマは、人里近くに暮らしていますが、カキを収穫してしまうことでクマ
の目当てのものを減らすことができるからです。
このように、人が工夫することで共に同じ地域で暮らすことができることもあります。
今年の、秋はクマにとってどんな秋になるのでしょう。
私が、大好きなカヤの平のブナは今年は大豊作のようです。クマも大喜びだと思います。
林内に入る時は、クマに会わないように鈴を鳴らしながら歩くことがルールだと思います。
なぜなら、森は森の生き物たちの暮らしの場であり、私たち人は、侵入者だからです。