ちっちゃな“神様”が遺してくれたもの #1
10歳の頃から、犬と暮らしてきた。
犬たちは、ほんとうにたくさんのものをわたしにくれた。
抱えきれないほどの愛情。まっすぐな信頼。このうえない幸福……。
美しい毛並みを撫でるだけで、あたたかいからだを抱きしめるだけで、心が落ち着き、笑みがこぼれる。
犬と暮らす日々は“発見”の連続でもある。その賢さ。その健気さ。そして、人間にはとてもマネできない、掛け値なしの「無償の愛」――犬という存在の尊さに感嘆すると同時に、人間の愚かさに気づかされる。
DOGを逆から読むとGOD。
犬はやはり“神様”なのだと思う。
3匹目の飼い犬となるロングコート・チワワのMONを亡くしてからの1年半、まさに茫然自失の日々を送ってきた。
前の2匹は実家で飼っていた犬だったが、MONは違う。ひとりで暮らす私を15年以上にわたって支えてくれた、かけがえのないパートナー。その最愛の家族を、突然、失ったのである。
もちろん、遠からず別れは来ると覚悟していた。だが、前日までいつもと変わらぬ様子でごはんを食べ、老犬らしい穏やかな日常を過ごしていたのだ……。心の準備なんて、まったくできていなかった。
あのコは旅立ってから今日までの記憶はあいまいだ。
ほぼ同時期に始まったコロナ禍のなか、ガランとした部屋でどうやって毎日をやり過ごしたのか。どれだけ泣いても涙が枯れない。
STAY HOME――世の中を覆うこの言葉がむなしく響く。
なぜなら、わたしのHOMEには、大切な家族がもういないから。
このブログでは、MONと出会ってからの思い出のあれこれを綴ってみようと思う。
ちっちゃな“神様”がわたしにくれた宝物を忘れないために。