【循環再生の概念を再認識】 大阪経済大学 黒正様よりご感想をいただきました。

大阪経済大学 教育・研究支援・社会連携部 

部長 黒正洋史様よりいただいた森の勉強会のご感想を紹介させていただきます。

<全体の感想>
この度は、貴重な機会をいただきました渡邊智恵子様ほか、財団の皆様へ感謝申し上げると共に、6月に開催されます鹿ツアーの参加にあたっての事前学習においては、30年以上にわたる行動観察にもとづく研究者の南正人先生、森林生態学のアプローチで具体的なお話をしてくださいました池田雅子様に改めて感謝申し上げます。
人類が豊かで平和に生きていくうえで、環境問題や生態系の崩壊という深刻な問題を自分事として捉えて、知行合一を意識して取り組んでいきたいと感じた次第です。

<南 正人 先生>
ハンターの減少や温暖化(積雪量の減少)により、増え続ける鹿の影響で生態系のバランスが崩れてきている事で、日本全国で農林業や生活環境にまで深刻な被害をもたらしているという事実は、たいへんショッキングであった。ハンターの減少の要因を考えてみると、戦前戦後の社会的な背景や環境の変化にも関係していると考えられるが、ハンターの減少だけではなく、鹿の繁殖力の手助けをしている里山の消滅や耕作放棄地の拡大の影響も大きいと聞く。また、専門的・職能的捕獲技術者(カラー)の育成など、害獣駆除の課題についてレクチャーいただいたが、私が感じた南先生の活動の熱意には、鹿を愛するがゆえに、社会課題となった獣害たちについて共存できる環境を人間が整備していくには、個人、企業、行政の其々の立場と役割において考える事と、一体となって取り組むべきことのメッセージを受けとった

<池田雅子 様>
池田 様と自然(森)との出会いについて、非常に共感することができた。森林面積が国土の67%であるとは言え、都会に集中する人口により、ひとが人として生きていく環境は、現代社会において負担が大きいと思っている。また、森林生態学の考え方についての学び、とりわけ極相林の概念に触れられたことは、生物多様性の理解につながったと思っており、さらには、山の神信仰については、日本の文化であり伝統である神道の世界観につながっているとイメージができ、自然と共に生きてきた生態系のルールであと考えることができた。極相林という考え方があるように、人間も生きていくうえでの循環再生の概念を再認識し、里山資本主義的な発想が大切になっている。そのような現状を池田様からは「鹿が生態系を教えてくれている」と表現されており、改めて自然の恵みと森の生物との共存の重要性を学んだ。