【夢旅 020】 春の黄色い贈り物

 

 

 

モヤモヤっと微悪魔到来

あー眠い。眠くてたまらないんだよ〜。どのくらい眠いかっていうと、ご飯を食べる時間も惜しいほど眠い。かといって、朝と夕方のだいたい決まった時間になると、まだ寝ていたいという自分の意思とはまったく関係なしにお腹がすく。それで、仕方がないからご飯を一気食いする。で、吐き戻す。ということを繰り返すくらい毎日眠い。

あっ、あのね、見慣れていない人は猫が吐くと「どした、病気か?!」って驚くけど、吐いたあとケロッとした顔して遊びだしたり毛づくろいするようなときは心配ご無用(だいたいこのパターン)。猫はちょいちょい吐くものなんだ。ただし、ブツを放置しちゃいけないよ。ちょうどいい具合に乾いたソレは、形状やそこに至るまでの経緯はともかく、猫にとってはフツーにご飯だからペロッと食べちゃう。湯気が立つくらい温かいうちにお片づけしましょうね〜。

で、どうにも眠くてたまらんという話。

なぜか。だから、春だから。なんならこのまま一生寝ててもいいぞ、なんて思っちゃう。だって、起きた瞬間から昼寝のことを考えてるんだもん。今は陽のあたる南側の部屋の窓辺がボクの推しスポット。風のサワサワっていう音、ちょっと離れたところで鳴いてるウグイスの声(姿が見えちゃうと狩猟スイッチが入るから声だけ)、モニョモニョいいながら庭を徘徊する隣家の猫。もう春なわけ。でも、まだガッツリじゃなくてちっちゃい春なの。そこがいいの。細くて不安定な感じがたまらなく好きなの。で、眠いの。泣きたいほど眠いの。

それで、ウトウトついでにちょいと小旅に出てみたんだ。行き先は日野。ホーリーは「ゼイムショ」というところに「カクテイシンコク」っていうのをしに行ってる。それは鹿ジャーキーみたいに美味しいのかって聞いたら、今年は去年以上に不味いという答え。ボクは不味いものには興味がないから、ゼイムショもカクテイシンコクもすぐに忘れることにした。忘れることは割と得意なんだよね。そして、ボクば多摩川の支流の浅川へ。そしたらあるわあるわ、ちっちゃい春が。川の水はなんだかぬるくて少しトロリとした感じだし、菜の花は咲いてるし、カモがめっちゃ美味しそうだった(カモは春とは関係ないかも? なんてね)。

川の近くの家の庭にはちびチューリップが顔を出し、白やピンクの小さい花がわんさか咲いてて、まるで花の森のなかにいる気分。花を見上げた向こうには青い空。この抜け感、気持ちがハイになるよね。根拠もなくなんでもできちゃう気になっちゃう(実際は、こんなの楽勝だぜー、って飛んで小さい川に頭からドボンしたりするんだけど…)。

人んちの庭先でよだれがたれそうなほどウットリと春の妄想に浸っていたら、なんだか鼻がムズムズ。こ、これは、も、もしや、うわさのアイツなのか? そういえば、川から遠くの山を見たとき、なんだか木から煙が出てるみたいに山がモヤモヤしてたっけ。あのときは、まぁ春だし、陽当たりがどうのとか、鹿に皮食われたとか、山も木も何かとモヤモヤすることがあるんだろうなぁくらいにしか思ってなかったけど、アレは春の大迷惑、黄色い微悪魔「花粉」だったのかぁ!  って、いきなりクシャミ6連発、鼻水ズルズル、目もノドもかゆくてたまらない。こんなの生まれて初めてだ。ホーリーがよく両目を取り出してゴシゴシ洗いたいって嘆いてたけど、これかぁ。今ならわかる、猫でもわかる。目だけじゃなくて鼻もノドもとりあえずいったん取り出したい。まるっとまとめてマジでじゃぶじゃぶ洗いたい。

 

犬や猫が花粉症なんかになるのかって? なっちゃうんだなこれが、犬も猫も。

花粉症って、いろいろあるアレルギー反応のひとつだよね。スギとかヒノキとかイネ科の植物の花粉に対して体が必要以上に反応しちゃう。

なんで反応しちゃうかね。ほっときゃいいのに免疫系がついつい過剰に反応しちゃうから症状が出ちゃう。きっと、免疫って生真面目なんだね。だから花粉といえども異物は異物、「ならぬことはならぬものです(会津藩の什の掟)」ってことかね。とにかくほっとけないんだね。

 

犬の花粉症は、体がかゆくなったり発疹ができたり毛が抜けたりする皮膚症状が多いらしいよ。

それに比べて猫の場合は人間の花粉症に似ていて、目、鼻、ノドに症状が出やすいんだ。今のボクがまさにそう。目もノドも死ぬほどかゆいし、水分補給が必要でしょ、ってくらいじゃんじゃん鼻水が出てる。まぁ、季節が変わればおさまるんだろうけど。

でも、犬の皮膚に異常があるとか、猫がカゼひいたみたいになるのって、花粉のせいじゃなくて感染症の場合もあるから、そのうち治るだろ、なんてナメてかからないでとりあえず動物病院に行ったほうがいいかもね。皮膚症状って悪化しちゃうとやっかいだから。

 

あーかゆい。あちこちかゆくてたまらないんだよ〜。もはや眠気もふっ飛んだ。外になんか出るんじゃなかった…。ウグイスの声でも聞きながら、陽のあたる南側の部屋でのんびり昼寝してりゃよかったよ。