【夢旅 012】 わーいわーい、雪だ雪だ、まっ白だよ!

わーいわーい、雪だ雪だ、まっ白だよ!

って、さむっ!  ボクが着てるのは1枚? それとも2枚?

雪だ雪ぃ〜! まっ白だまっ白ぉ〜! 広い広い〜!
なんてはしゃぎ回ったのはほんの2分ばかり。雪っていうもので覆われた地面(正確には氷と雪の湖面)は、どこまでも白くて、そんで、いやもう、冷たいのなんのって、肉球がキンキンに冷えてきたかと思ったら、あっという間にジンジン痛くなってきたんだよね。
雪の上に立って2分1秒後には、あーもういやだいやだ、雪なんてもんはぬくぬくの部屋の中から見るもんであって、仲良くふれあうなんてとんでもないことだと悟ったね。ボクは。

で、ここは福島県の裏磐梯。沼とか湖がたくさんあって、五色沼や桧原湖ってところが有名みたい。「磐梯山」っていう会津のシンボルマウンテンの裏側にあたるから裏磐梯っていうんだって。ひょっとして、裏だから寒いのか? もしかして、 表だったらあったかいのか?
とにかく、いま、冷たいんだ、めちゃくちゃに、肉球が。早くなんとかしてほしい。


いやだいやだビームを全身から放射しつつ、やっとの思いで立ってるココは「曽原湖」っていう小さな湖の上。よせばいいのに全面的に凍ってて、ご丁寧にもその上に雪が積もってまっ平らでまっ白でまっぴらごめんなだだっ広い平原になってるわけ。で、そこを何頭かの犬が「わーいわーい雪だ雪だ!」っていいながら走ってるわけ。どうかしてるわけ、ぜったい。

だってね、湖の端の森まで全速力で走って行って、全速力で戻ってきて、ボクの前をあっという間に通り過ぎて、反対側の端の森まで全速力で走って行って、また戻ってきて、っていうのを何度も繰り返すんだ。と思いきや、いきなり雪の上にゴロンってひっくり返って、気持ちいい〜っていいながらズリズリしてるの。ちべたい雪の上を。もう、ぜんっぜん意味わかんない。

肉球ジンジンの雪の上で気持ちよさそうにゴロゴロしてるのを見てるだけで「いやだいやだ」が「いやだいやだいやだいやだ」に倍増しちゃうよ。まったく。

彼らはアタマがおかしいから寒くないんだろうか。それとも、あの恍惚とした表情には何かちゃんとした理由があるんだろうか。ちょっとホーリーに聞いてみよう。

って、いねーし。
さては、ぬくぬくの部屋の中で不思議な水(人間界では酒という)を飲んでるに違いない。


案の定、ホーリーのやつ、ストーブの前でほかほかに温もりながら透明な液体(人間界では日本酒という)をクイクイ飲んでいやがった。
すんでのところでやつがポンコツになる前に取り調べを完了。
どうやら、雪の上をバカみたいに走り回ってた犬たちが寒さに強いことにはいくつかの理由があるらしい。

まずは「体のサイズ」。ボクのように体が小さい(猫にしては大きめだけど、約6kg)と、体の奥まで短時間のうちに寒さが伝わってしまうということ。そして、大事なことは、着ている毛皮の種類だ。
犬や猫の被毛(着ている毛皮のことね)には「シングルコート」と「ダブルコート」っていうのがあって、シングルコートは、言葉通り、1枚しか着てないんだ。1枚だけじゃ、そりゃ寒いよね。

 

 

寒さに強い犬の被毛は「ダブルコート」。毛皮を2枚着てる。
柔らかくて綿毛のようなアンダーコート(下毛)と太くて長めのオーバーコート(上毛)の二層構造になってるんだ。フリースの上にダウンを着てるようなものかもね。しかも、アンダーコートは年に2回(換毛期)抜け替わって、いまは冬毛でモコモコってわけ。そりゃあさぞかしあったかいでしょうよ。

さっき雪の上をバカみたいに走り回ってた犬は、イングリッシュ・セター、ボーダー・コリー、ゴールデン・レトリーバーで、3頭ともダブルコート。2枚の毛皮で防寒対策バッチリだったってこと。それにしても、あのはしゃぎようはどうかしてるよ、マジで。

ちなみに、日本猫はダブルコートが多いらしいから、ボクも毛皮を2枚着てるってことになるんだろうね。でも、寒さに強い犬が着ているのは、高級ブランドの厚手のフリースとグースのダウンで、寒がりのボクが着てるのは、ファッションセンター○○む○あたりの軽くて薄〜いプチプラフリースとダウンなんだろうなぁ…。
うわっ、なんか、寒さが8割増くらいになったような…。さむっ!